KANEBO(カネボウ)の化粧水「スキン ハーモナイザー」が皮脂ケアの常識を覆したワケ
ー実際に肌の上でどのように働くのでしょうか? 矢野: 化粧水を塗布すると、化粧水内のトラップ膜と不飽和脂肪酸が反応して、肌の上でスポンジ構造を形成します。そのスポンジ構造が不飽和脂肪酸を捕らえるため、肌内部に入らない状態を作り上げるというメカニズムです。 このトラップ膜は不飽和脂肪酸以外には反応しないので、良い皮脂は肌の上にきちんと残すことができます。この技術は現在特許出願中で、昨年には学会発表も行いました。
乾燥肌の人こそ皮脂ケアが重要な理由
ーこれまで皮脂というと多いか、少ないか。多ければ取って、少なければ補うというのが常識でしたが、まったく違うアプローチということですね。 矢野: そうです。実は「ターゲティング皮脂トラップ」自体は化粧水開発の前から研究をしていて、大規模な研究プロジェクトのもと、皮脂の新たな側面を発見し、生まれたものなんです。 これまでは「乾燥肌は洗顔すらしてはいけない」と考える方がいるほど、皮脂が足りないことが乾燥の要因だと思われてきました。ところが皮脂の質という面から見ると、量だけではなく、不飽和脂肪酸の影響により乾燥を引き起こしていた可能性があるのです。実際にお客様から「私の肌荒れって皮脂が原因だったんだ」という声をいただくことも多いんですね。だからこそ、この商品は乾燥肌の人にも使ってほしいと思っています。
ーその他にこだわりの成分はありますか? 矢野: 「ケラトモイスチャーコンプレックス」は、花王独自の複合保湿成分になります。多くの保湿成分は潤いを抱え込むものになっているのですが、この技術は角層の細胞内にある「ケラチン線維」というタンパク質にアプローチをします。保水能力が弱まっている肌は、このケラチン線維が凝集して、水を抱え込みにくい状態になっています。「ケラトモイスチャーコンプレックス」は、ケラチン線維を柔らかくほぐし、末端が広がるようにアプローチをすることで、水を抱え込む力を呼び戻して、肌自らが潤うようにする技術となっています。