KANEBO(カネボウ)の化粧水「スキン ハーモナイザー」が皮脂ケアの常識を覆したワケ
ー「カネボウ スキン ハーモナイザー」が誕生した経緯を教えてください。 矢野: まず我々はコロナ禍におけるマスク生活以降、肌の不調を感じている人が多くなっていると感じていました。そこで3000名以上に調査を行ったところ、3ヶ月以内に肌の不調や肌荒れを経験した方が、若年層を中心に7割に達しました。 また、肌悩みについて伺ったところ「混合肌のように部位によって乾燥と皮脂テカリが起こる」、「洗顔後は肌が突っ張るのに日中はテカる」など乾燥と皮脂、そして空間と時間という、さまざまな要因が複雑に絡み合った状態であることもわかりました。 そして、このような肌悩みは、気分が下がる、人に会いたくないなど、気持ちの面でも負のスパイラルを起こしていました。「こういうことはよくあることだから仕方ない」という諦めの声も多くありましたが、「希望」を掲げるカネボウとしては、終わらない肌不調や肌荒れに立ち向かいたいという思いで、化粧水開発のプロジェクトをスタートさせました。
ーさまざまなスキンケアアイテムがあるなかで、肌悩みに対して、化粧水というアプローチにしたのは、なぜでしょうか? 矢野: 今回の調査で、肌荒れや肌の不調が起きたときに、多くの人が置き換えていたということに加えて、化粧水は使用率が特に高く、そんなスキンケアの最初に使うアイテムだからこそ、化粧水で肌悩みを断ち切り、肌が変わるということまでも実感していただきたいと考えました。他のスキンケア用品は変えずに化粧水だけ敏感肌用のものに変えたり、生理周期に合わせて化粧水を使い分けたりしている方もいらっしゃいました。化粧水で肌の悩みを解決できるのか、非常に難しい側面もありましたが、ニーズがある以上、化粧水でやりきろうということになりました。
悪い皮脂を肌に戻さない「皮脂トラップ」技術
ー今回、採用された新技術「ターゲティング皮脂トラップ」とはどのようなものなのでしょうか? 矢野: まず、皮脂は一概に悪いものではありません。肌からの水分蒸散を防いだり、天然の保湿剤とも言われたりもしていることはご存知だと思います。一方で、酸化皮脂という言葉や、テカリ、ニキビの要因になることも広く知られていると思います。 では、なぜ良い側面と、悪い側面があるのか。そこで着目したのが、皮脂の質です。皮脂のなかには悪玉化する「不飽和脂肪酸」というものがあります。この不飽和脂肪酸は、肌との親和性が高く、分泌された後、肌に再浸透します。そして浸透した不飽和脂肪酸は、炎症を起こしたり、肌の保水に欠かせないラメラ構造を乱して、バリア機能を低下させるということがわかりました。 皮脂は肌を守るために大切なものです。だからこそ皮脂を取り去るのではなく、不飽和脂肪酸を肌に再浸透させないことが重要だと開発されたのが「ターゲティング皮脂トラップ」です。