なぜ日本人は「地学」を勉強しないのか...知らないまま大人になると「ヤバい」と断言できる理由
高校地学の履修率はまさかの「1パーセント」!?
高校地学の崇高なテーマとは裏腹に、じつは、高校で地学を学習する生徒はたいへん少ないという実態もお伝えしておきたいと思います。全国の履修率の調査では、地学をフルで学ぶ生徒は全体の1パーセントくらいという数字が出ています。 その理由の第一は、大学入試で地学を受験科目に採用しない大学が多いことです。事実、地学で受験できるのは、国立大学と一部の公立大学、そして私立大学のごく一部の学部に限られます。その結果、多くの日本人は残念なことに、義務教育の中学校で教えられる内容までしか、地学を学べていません。その結果、「高校で地学を学ぶ機会がなかったが、地球や宇宙に興味を持っており、いつかきちんとその内容を学びたい」と思っている人が、かなりの数にのぼっているだろうと考えます。 私たちは、日本人全員の「教養」として、地学は必要な学問だと考えています。予備校と大学という異なる職場に勤める私たちですが、「もっと地学を知ってもらいたい!」という思いはまったく一緒でした。そこで、高校で地学を学ぶ機会はなかったけれど、地球や宇宙に興味を持っており、いつかきちんとその内容を学びたいという人が楽しみながら自習できるよう、ふたりの知見を総動員した入門書を書こうと約束しました。その成果が『みんなの高校地学』です。ぜひ読んでみていただけますと幸いです。 * * * 本連載では、人気の地球科学者と地学講師が、「高校地学」の内容と魅力をわかりやすくお伝えしていく。
鎌田 浩毅、蜷川 雅晴