美味しそうなものには、多くのAGEが含まれている。老化に影響する「糖化」原因のAGEを防ぐ(専門家が監修)
AGEががんにも認知症にも関わる?
糖化はさまざまな病気と関わる。がん、動脈硬化、認知症とAGEの関係をチェックしよう。 がんの発端は、遺伝情報を伝えるDNAの異常。AGEはこのDNAにも溜まりやすく、遺伝情報のミスコピーによる、がん細胞の発生を誘発しやすい。とくにAGEの一種アクリルアミド(フライドポテトやクッキーに多い)は、国際がん研究機関から「ヒトに対しておそらく発がん性がある物質」に指定されている。AGEは、がんの転移にも関わるようだ。 動脈硬化は、心臓から血液を運ぶ動脈が硬く狭くなり、血栓という血の塊が詰まりやすくなる状態。心臓病や脳卒中の主因だ。動脈硬化の始まりは、血管に溜まった悪玉コレステロールの酸化。AGEがこの酸化悪玉コレステロールに集まると、より動脈硬化を起こしやすい。また、血管内側の内皮細胞にある受容体(RAGE)にAGEが結合すると、動脈硬化が進むこともわかっている。 認知症を起こすアルツハイマー病の患者の脳には、健常者より多くのAGEが溜まっている。AGEはアルツハイマー病を起こすアミロイドβというタンパク質の凝集・沈着を促すうえに、糖化で脳の神経細胞を傷つけるのだ。
体内のAGE量を測ってみた
俄然気になるのは、自分に一体どのくらいのAGEが溜まっているか。 AGEの蓄積度合いを知るには、大きく2つの方法がある。血中のAGEを測るやり方と、皮膚のAGEを計測するやり方だ。 なかでも手軽なのは、皮膚のAGEを測ること。 AGEには、光に反応する蛍光性を持つものがあり、スキャナーで上腕内側に光を当てると、体内のAGE量を簡易的に推定できる。 AGEが蓄積しやすい糖尿病があるか、糖尿病がない健常者かにより、正常値ゾーンは異なる(糖尿病アリの方が正常値ゾーンは甘くなる)。そして加齢とともにAGEは溜まり続けるから、正常値ゾーンも年齢に応じて右肩上がりの直線を描く。 今回、60歳になったばかりのライターと40代前半の編集者が検査してみた結果、前者はギリギリセーフ、後者は余裕で正常値範囲内に収まるという結果になった。気になる人は、糖尿病専門クリニックなどに問い合わせて、同様のAGEの測定ができるかどうかを確かめてみよう。 「糖質制限すると血中のAGE値は比較的早期に減りやすいですが、皮膚のAGEは代謝が遅いので、減少するまで少し時間がかかります」
取材・文/井上健二(初出『Tarzan』No.871・2024年1月4日発売)