美味しそうなものには、多くのAGEが含まれている。老化に影響する「糖化」原因のAGEを防ぐ(専門家が監修)
AGEは体内でどのように作られますか?
危険なお焦げであるAGEは、体内でどのように作られるのか。詳しく見てみよう。 AGEの生成プロセスには、大きく2つのステップがある。 ステップ1は、アーリーステージ(初期段階)と呼ばれる。 余計な糖質が体温によって加熱されてアミノ酸のアミノ基に付くと、シッフ塩基という物質ができる。 シッフ塩基は構造的には不安定だが、その一部は安定的なアマドリ化合物へと変わる。ここまでがアーリーステージだ。 ステップ2は、アドバンストステージ(後期段階)と呼ばれる。詳細は省くけれど、ここでアマドリ化合物は複雑な化学反応を経てAGEとなる。 かくて生じるAGEは1種類ではなく、カルボキシメチルリジン(CML)、ペントシジン、クロスリン、イミダゾロンなど全部で100種類以上もある。 アーリーステージまでは後戻りできる可逆的な反応だが、アドバンストステージでアマドリ化合物から一度AGEが生じると、後戻りできない。茹で卵が生卵に戻らないのと同じである。 ステップ1→2へと悪化させないために、まずは血糖値をしっかりコントロールしておきたい。
AGEがコワい酸化と炎症を進めるってホント?
糖化と並んで怖いのが、酸化。呼吸で取り入れた酸素の2~3%は有害な活性酸素となり、酸化を進める。活性酸素は細胞や遺伝子に容赦なくアタックし続け、生活習慣病や老化の引き金となる。糖化がお焦げなら、酸化はサビだ。 やっかいなことに酸化と糖化はコインの表裏のようなもの。切っても切れない関係にある。 まず糖化が進むと、酸化ストレスが増えてくる。 あらゆる細胞には、AGEをキャッチする受容体RAGE(Receptor of AGE)が備わる。AGEがRAGEと結合すると、AGE―RAGE複合体ができる。この複合体はRAGEを増やす作用があり、AGEを次々と呼び寄せて、糖化を促す。同時に、AGE―RAGE複合体は、NADPHオキシダーゼという酸化酵素を活性化。この酵素により、体内で活性酸素がどんどん生じてしまう。 そして酸化が起こると、糖化に拍車がかかる。前述のアマドリ化合物からAGEができるプロセスに、酸化が関わるからだ。 こうして糖化と酸化がつねに起こっていると、体内では慢性的な炎症が生じて、慢性炎症は糖化も酸化も進めてしまう。糖化、酸化、炎症という悪のトライアングルこそ、万病の元なのである。