まちづくりに取り組む建築家が実践する、「自分の街は、自ら住みやすく変えていく」暮らし方 ニシイケバレイ/CaD 東京都豊島区・新宿区
飲食店経営の経験はなかったものの、Chanomaのスタッフと一緒に立ち上げを行ったり、自宅兼酒屋を設計したIMADEYAからお酒を、沖縄で出会った加工肉のお店からハムやソーセージを仕入れ、と、これまでの縁を紡ぐように開店準備を進めていきました。 「CaD」という店名にはまちカドのカド、「Charcuterie and Drinks(食肉加工品と飲み物)」の略、このまちのくらしを耕し発展させる「Cultivate and Develop」といった意味が込められています。
角側から見た外観。左手奥が事務所のエントランス。「設計の依頼を検討しているという方が、事務所の雰囲気を確かめに覗きに来ることもありました」と須藤さん。
CaD内観。住宅で使用した木材の端材をカウンターに再利用するなど、ニシイケバレイなどでも見られる手法が応用されている。
「以前はこの近くの賃貸マンションに住んでいて、目白の街に愛着がありました。家を建てるにあたって、事務所を併設することにしました。実家では父も自宅に職場をもっており、職住近接の生活によって家族とも仕事ともよい距離を保てる実感がありました。今まで支払っていた事務所家賃をローンに回せるメリットもありました。第一種低層住居専用地域でも、全体の1/2以下かつ50平米以下の面積であれば店舗等の機能を入れられることを利用し、店舗を構えることにしました。夫婦と小さな子がいる現状の生活に合わせて設計しましたが、事務所部分も住居として使ったり、店舗部分を駐車場にしたり様々な使い方に対応できるように考えています。現時点では考えていませんが、もし将来的に手放す必要が生じた際も売却の選択が取りやすい点も、不確実な未来に備える対策になり得ると考えています」
天井が高く開放的な3階リビング。各方向に窓が開けられているが、隣家が近い位置には壁が設けられている。
1階事務所。「子どもが早く帰宅した日は事務所にいることも多く、ひとりにならずに済むので子育ての面でもいい環境になっています」と須藤さん。