「BIGBOSSよ。そろそろ目を覚ませ!」球界大御所が開幕1勝8敗と苦悩する日ハム新庄監督に激辛提言
「新庄はバカじゃない。野球の本質をとらえるクレバーさがある。勉強もしている。清宮にダイエットを指令し、守備の大切さを重視する練習を取り入れ、選手に考える力をつけさせようとオープン戦では上沢や近藤に監督をさせる奇抜なアイデアを用いた。やっていることはどれも理にかなっていた。彼は野球界に新しい風を吹き込むかもしれない、面白くなるぞと期待していた。選手も向上心を持ち、いらない欲を捨てて前を向いて戦い、オープン戦では、アっと思わせるような結果も出していた。清宮などは走り方から変わってきた。だが、オープン戦と公式戦は違うのだ。戦力があるのに負けている阪神と違って日ハムは戦力的には厳しい。軸になる選手も少ない。開幕3連戦にとっかえひっかえ投手を代えた背景に、そういう事情があることもわかる。若手を育てチームを作るシーズンになるだろう。だが、ここまでの9試合で新庄がやっている野球はチーム作りには程遠い。彼は野球を勉強しているのだからすべてをわかっているはず。そろそろ目を覚ましなさい。監督は何をすべきか、本当のチーム作りとは何かをもう一度みつめ直さねばならない」 広岡氏が問題視するのは日替わりで固定しない打線だ。 1番は9試合で8人。4番は清宮に4試合、王に2試合任せたが、3日のオリックス戦では、2日前にマルチ安打を放ったとはいえ、昨年まで通算14安打の6年目の郡をプロで初めて4番に抜擢。1回二死二塁、3回二死満塁の2度の好機に連続で見逃しの三振に倒れるなど、采配は裏目に出ている。チーム打率は.193。9試合中3試合で完封負けを喫している。 「打線と守備は固定しなければ選手は育たない。それぞれに役割をわからせ、つながりというものを作るには、毎日、打順が変わったり、出たり、出なかったりではダメだ。得点力不足になるのも当然。実績のある選手は、近藤くらいしかいないから苦労しているのかもしれないが、外国人と近藤は固定して清宮のような将来性のある若手を我慢して使い続ける必要があるだろう」 日ハムは4日、開幕以来1本もヒットを打てていないルーキーの水野と西武から昨季途中に移籍してきた佐藤の内野手2人を2軍に落とした。誰をどう育てるかを模索している最中。打線を固定しないのではなくて、できないとの議論もあるが、広岡氏は、近藤、アルカンタラ、ヌニエスの新外国人に、石井、清宮、万波らの若手は期待値含みで「固定できる」という見解だ。 投手陣に目を向けるとチーム防御率4.68もリーグワースト。開幕3試合は“小刻み継投”で戦い、まだ1試合しか勝っていないため勝利方程式も見えてこないが、3日のオリックス戦では、同点で迎えた7回に北山を投入するなど、ここも新庄采配に固定観念がないようにも映る。 また3日のオリックス戦では、状況判断を誤っての飛び出しやオーバーランでチャンスを潰す走塁ミスがあり記録に残らないエラーなども目立った。 広岡氏は、「そういう部分こそ、今年の日ハムが新庄、コーチが徹底して教えこまねばならない部分。反省と練習の反復しかない」と指摘した。 「日ハムはフロント主導型のチームだと聞いている。チームの内部のことはわからないがGMの稲葉は、新庄とコミュニケーションを取ってどう育てるかの意思統一を図る必要があると思う。新庄に進むべき方向を気づかせてやるのもフロントの仕事。またBIGBOSS、BIGBOSSと持ち上げて負けている問題点を指摘しないマスコミにも問題はある」
広岡氏は新庄の“迷走“をフロントがコントロールする必要があるとも説く。 「今の日ハムは対戦する相手チームに“おいしい“と思わせている存在だろう。逆に言えば、そこに相手に隙が生まれる。パフォーマンスではなく、何かやるぞ!という野球を見せてやればいい。シーズンは長い。ベンチで選手に表情を見せて、どっしりと構えていればいい。ここから新庄がどんな野球をするのか見ものではある」 最後に辛口の“球界大御所“が珍しく激励メッセージを送った。 今日5日からは本拠地でのロッテと2連戦。連敗ストップを託される初戦のマウンドにはエースの上沢が立つ。 (文責・駒沢悟/スポーツライター)