来年3回の利上げ計画 タカ派に傾いたが想定よりタカ派色は強くなかったFOMC
2023~24年は計5回 現時点から計8回の利上げ計画
9月FOMC時点では2023年に3回、24年に3回と累計6回の利上げを実施する計画が示されていました。それが今回のFOMCでは2023年が3回、2024年は2回と累計5回に変更されました。2022年の利上げ計画を前倒しした参加者は、利上げの「終点」を変更しなかったとみられ、その分、2023~24年の利上げ回数を減らした可能性が高いと判断されます。 ドットチャートが示唆する政策金利は2022年末が1.00%(9月0.375%)、2023年末が1.75%(9月1.25%)、2024年末が2.25%(9月2.00%)でした。政策金利の天井として意識されている中立金利は2.5%で不変でした。今回、中立金利を超える利上げ計画は示されなかったことは株式市場の安心材料となり、この点が株価上昇を促したと判断されます。
バランスシート縮小への具体的な情報発信はなし
最後にやや専門的な話ですが、株式市場参加者が注目していたバランスシート縮小について具体的な情報発信はありませんでした。バランスシート縮小とは、FRBが保有する国債やMBSについて、その満期が到来した際にその分だけが保有資産が減少することを指します。FOMC結果を記す文書、通称「声明文」にバランスシート縮小について記載はなく、またパウエル議長の記者会見でも「着手するかどうかについてまだ決断していない。今後のFOMCで議論していく」と一般論にとどめました。 バランスシート縮小をめぐっては、タカ派(金融引き締めに積極的なスタンス)色の強いブラード・セントルイス連銀総裁が「テーパリング終了時にはバランスシートの縮小に着手することができるだろう」として、再投資そのものを実施しない考えを示していたことなどから市場関係者の一部で意識されていましたが、今回のFOMCでは過度なタカ派偏重を避ける意味もあってか、そうした議論を封じ込めた模様です。 今回のFOMCは9月の会合と比較して明確にタカ派に傾倒した反面、直前に市場参加者が想定していたほどタカ派色の強い内容にならなかった印象です。FRBは金融市場で過度な引き締め観測が生じてしまうことを警戒したのでしょう。今後FRBは粛々と金融引き締めに着手すると予想されますが、このように金融市場に配慮する姿勢は維持されると期待されます。
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