「No.1調査しませんか」は景表法違反なの? 広告主が知っておきたい不当な「No.1表示」の実態
真っ当な調査会社であれば、選択肢はランダムに配置され、スクリーニングによって実購入顧客の絞り込みも行われる。費用としては100万~300万ほどかかるのが一般的だ。しかし、悪質な調査会社では「No.1」に見せかけるためのフォーマットがすでにできあがっているので、わずか30万~40万程度で発注できてしまう。
┌────────── このような悪質な企業に騙されやすいのは、主に地方の広告主や中堅・中小企業です。首都圏の大企業はNo.1調査の勧誘をされても、コンプライアンス上実施できないことも多いです。一方で、「安価な調査費用で、自社のNo.1を見つけてくれるならぜひ調査したい」という地方や中小企業は狙われやすく、被害が拡大しています(小林氏) └──────────
「顧客満足度No.1」は景表法違反? 消費者庁が報告書を発表
では、今回消費者庁が発表した「No.1表示に関する実態調査報告書」は、どのような内容なのだろうか。一ノ瀬氏によると、この報告書では「顧客満足度No.1」や「コストパフォーマンスが良い」などの表示が合理的な根拠に基づいていない場合、「景品表示法に違反するおそれがあるということ」が改めて明確に示されたという。 ┌────────── 「違反するおそれがある」=「限りなく黒に近い」とご理解いただければと思います(一ノ瀬氏) └────────── この調査により明らかになったことは、主に以下の3点だ。 1. 「No.1表示」は消費者の主観的評価に基づくものが多い No.1表示では、「顧客満足度」「品質満足度」「コスパ満足度」など、商品に満足したことを示すフレーズが最も多い。また、高評価%表示では「医師の○%が推奨」といった、専門家が商品を勧めていることを示すものが最多で、いずれも根拠としては不十分な場合が多い。 2. 「No.1表示」「高評価%表示」が購入の意思決定に与える影響は大きい 消費者1,000人に対するウェブアンケート調査によると、新商品等を購入する際にNo.1表示が「かなり」または「やや」影響すると答えた人は、合計で約5割に達した。 3. 広告主側の認識不足 No.1表示の目的や経緯について、広告主にヒアリングを実施したところ、「他社もやっているから」「調査会社の説明を鵜呑みにしていた」などの理由が多く挙げられた。調査内容を自ら確認することなく、法的に問題がないものと結論づけてしまっている。 そして、「No.1」や「高評価%」の表示を行う場合、景品表示法に抵触せずに「合理的な根拠である」と認められるには、以下の4点を満たすことが必要だ。 1. 比較対象となる商品、サービスが適切に選定されていること 「No.1」を訴求する以上、原則として、主要な競合商品・サービスを比較対象とする必要がある。 2. 調査対象者が適切に選定されていること 表示内容から認識される調査対象者を正しく選定する必要がある。 3. 調査が公平な方法で実施されていること 恣意的な調査とならないように注意する必要がある。 4. 表示内容と調査結果が適切に対応していること