24年はVTuber卒業ラッシュ? カバーとANYCOLORのリスク対策をひもとく 2社で“真逆”の新人発掘方針
企業所属のVTuberって激務なのでは──相次ぐVTuberの活動停止を巡り、ファンからそんな声が上がっている。11月末ごろから、カバーが運営するVTuber事務所「ホロライブ」所属タレントの活動休止や卒業が相次いでいるためだ。果たして、2024年は企業所属VTuberが活動停止を発表する件数が増えた1年だったのだろうか。 【画像を見る】ANYCOLORの中期経営方針【全15枚】 直近で話題となったのは、ホロライブ所属の沙花叉クロヱさんの発表だ。沙花叉さんは11月29日、25年1月26日をもって配信活動終了を発表。引き続きホロライブに籍は置くものの、配信活動やライブイベント、新規グッズの販売は行わないとした。この理由について、沙花叉さんは自身の配信で、カバーと自身の方向性の違いや稼働量が多いこと、ホロライブ以外でやりたいことが見つかったなどと説明していた。 12月1日には、「ホロライブEnglish」所属のセレス・ファウナさんが卒業を発表。理由は沙花叉さんと同様、カバーとの方向性の違いとしていた。なお、同様の理由で卒業をしたのはこの2人だけではなく、8月に卒業した湊あくあさんも方向性の違いを理由に、同社を離れていた。 ここまで紹介した3人以外にも、24年中には3人のVTuberがカバーを離れる、もしくは配信活動の終了を発表している。1月には夜空メルさんが、7月には緋崎ガンマさんがそれぞれカバーとの契約を解除しており、9月にはワトソン・アメリアさんが配信活動終了を発表。24年(5日時点)には計6人のVTuberがカバーでの配信活動終了を発表している。 なお、23年中にカバーを離れたのは、VTuberグループ「ホロスターズ English」所属のマグニ・デズモンドさんとノワール・ヴェスパーさんの2人のみ。数字を見ると、確かに24年のほうがカバーを離れるVTuberは多かった。
ANYCOLOR所属VTuberの離脱者数は?
一方、カバーと並びVTuber業界のトップランナーとして、VTuberグループ「にじさんじ」を運営するANYCOLORはどのような状況か。12月11日現在、24年中ににじさんじからは7人、英語圏向けグループ「NIJISANJI EN」からは5人、計12人がANYCOLORを離れている。 にじさんじ所属VTuberの卒業理由として多く上がっているのは「他にやりたいことがあるから」という説明だ。その中には、ANYCOLORを離れ、個人VTuberとして“転生”(別デザインのキャラクターとしてVTuber活動を続けること)しているとうわさされる人たちもいるようだ。これは、カバーに在籍していたVTuberも同様である。 余談だが、企業もタレントも両者納得で卒業するケースのみだったにじさんじに対し、NIJISANJI ENでは、Selen Tatsukiさんが2月に契約解除されている。理由は、度重なる契約違反などがあったとし、株主向けには「この契約解除による同社の業績に与える影響は極めて軽微である」と説明した。 しかし、この文言が英語に訳され拡散され、海外コミュニティーなどで炎上。海外のVTuberファンを中心に「Selen Tatsukiさんのことを軽視している」など批判の声が上がり、同社の田角陸CEOが謝罪動画を上げる事態にもなっていた。 (関連記事:ANYCOLOR、代表の謝罪動画を公開 「にじさんじEN」巡る問題で【全文書き起こし、日本語訳あり】) なお、23年には、にじさんじからは13人、NIJISANJI ENからは3人がANYCOLORを離脱。昨対比でみると、離脱者する人は少なくなっているようだ。