ペルム紀末の生物大虐殺の犯人は? 過去の地球温暖化から現在の環境問題を考える
地球史における地球温暖化現象
前置きが長くなりすぎる前に本題に入りたい。一古生物学者の目から見て地球史における興味深い事実をここに紹介してみたい。実は地球規模の温暖化現象は、太古の昔に何度も起きている。最近は気温が異常に上昇しているというニュースをよく耳にする。しかし過去何億年にわたる地球上の気候の変化史全体に目をむけてみると、現代を含む新生代の後半は比較的気温が低い寒冷化の時代といえる。第四紀の「最終氷期」(2万6500年~2万年前の間)と呼ばれる氷河期時代を地球は経験したばかりだ。 具体的に非常に温暖だった時代の例を新しいものから順に以下にまとめてみた。 A.新生代前半:過去6億年近くの間最も温暖だった時期は、恐竜が滅んでおよそ1000万年が経った新生代前半の「暁新世―始新世の境界時」(5600万年前頃)だったと考えられている。現在より気温が5度から10度近く高かったとする推定値も出されている(エアコンなしで生活するにはかなり厳しい世界だったはずだ)。多くの哺乳類グループがこの時期に出現または繁栄をとげた。 B.中生代(恐竜時代):恐竜やその他の爬虫類が大繁栄を遂げた中生代(約2億5200万年~6600万年前)のかなり長い間、地球全体はかなり温暖で、極地に氷や雪はまるで存在していなかったようだ(現在と比べてかなり暑かったのは間違いないだろう)。恐竜などの爬虫類はこの長期間にわたる温暖な気候から最大限の利益をうけていたといえるだろう。 C.古生代前半:三葉虫が大繁栄を遂げ魚類が初期進化をみせた古生代の前半も、地球はかなり暖かかったと考えられている。大まかに5億年~4億年くらい前(例えばカンブリア紀、オルドビス紀、シルル紀など)の時代に、特に海生動物が温暖な海環境において大繁栄を遂げた。 こうした長い地球史における壮大な気候大変化の歴史の中に、今回の記事のカギとなるメッセージを一つたぐり寄せようと私はもくろんでいる(勘のいい読者の方はうすうす気付いているかもしれない)。 太古に起きた一連の温暖化の時代、人類はまだ地球という舞台に登場していなかった。あえて断るまでもなく二酸化炭素を大量に排出する自動車や工場、森林伐採を伴う大規模な農業、都市の建築なども当然見られなかった。 それでは太古の地球規模の温暖化現象の直接の原因とは、はたして何だったのだろうか? 人類以外の同じような自然現象にもとづく要素が、現在進行形で起こっていると考えられる今日の温暖化現象にも当てはまらないだろうか?