「疲れを感じやすい」体調に違和感。その後、医師「肺の近くに9cmの影が」判明した病とは 「”生きる”を束ねる」SNSでの発信を続ける思いに迫る
「がんになったけど、面白おかしく生きていたい」
相徳さんはもともと文章を書くのが好きで、noteというSNSでの発信を定期的に行っていました。そんな中で病気が分かり、情報を集めるためにいろいろな方々の闘病記を読むようになります。 ただ、すごく参考になる部分もありつつ、専門用語が多すぎたり、雰囲気が暗いなと感じたりする場面があることに気づきました。そんなときに、音楽家であり俳優の星野源さんの「よみがえる変態」というエッセイに出会います。 「彼はくも膜下出血を2回発症し、想像を絶する苦しい治療を乗り越えました。その闘病の様子を本に記しているのですが、思わず笑ってしまうブラックジョークも交えながら、どんな環境下でもユーモアを忘れずに闘病を書き切っています」 その姿勢が本当に素晴らしいと思った相徳さんは、がんになってただ不貞腐れているのも割に合わないと思い、星野源さんみたいに状況を一変させるようなユーモアで、人に勇気と笑いを届けたいという気持ちから病気についても発信することにしました。 noteのプロフィールにもある「がんになったけど、面白おかしく生きていたい」という思いから、主にInstagramでの発信やnoteでの闘病記、エッセイの執筆など、積極的な行動を取った相徳さん。それにはこうした思いがありました。 「自分、ケチなんです。ケチだから、タダで転ぶのは絶対に嫌だったんです。ネガティブに過ごすことで病気が治るならいくらでも落ち込みますが、そんなに病気は単純じゃない。どう過ごしても結果が変わらないなら笑ってた方が割に合うし、その様子が同じ境遇に陥ってしまった人の励みになれば一石二鳥じゃないかと」 もちろん、落ち込んで苦しくて「こんな人生、生きてて意味ある?」と思う場面もたくさんあったといいますが、ポジティブとネガティブの思考が3周くらい回って「面白く生きていたい」にまとまった…と話します。 27歳で病気を経験した相徳さんの視点から、同じように若くしてがんになった人や、これから何が起こるか分からないからこそ、伝えたいことがあります。 それは「想像もできなかった肉体的・精神的な苦痛を感じることになりますが、私は『本人が感じた経験は誰にも盗めないこと』を知りました。経験を通して感じた痛みや感動は、紛れもなくあなただけの宝物です。だから絶対に治して、その宝物を心の支えにして、一緒に人生を歩んで行けたらいいなと思います」ということです。 また、がんになった人の関係者に向けて「私は今回の件で、がんは当事者だけが苦しいのではなく、周りの人にはある意味、私が体験できない痛みを感じさせてしまうんだということを知りました。それが原因で人間関係の問題もたくさん起こりました。だからこそ、コミュニケーションを丁寧に、でも積極的にとってあげてほしいなと思います」と話していました。 相徳さんの退院後の目標の1つ目は、筋トレをすることです。体力を取り戻すことが大前提で、がんになったことがあると想像もできないくらい、きれいで頑丈な身体を習得したいと話します。 そして2つ目は、仕事についてです。病気の影響でしばらく花の仕事ができなくなっただけでなく、相徳さんは違う仕事をする必要がありました。今は闘病を経て気づいた「自分の力を発揮できたら嬉しいな…」という思いを持って将来について考えていると語ります。 そして一番大切な3つ目は、がんになった若者がどのような過程を経て社会復帰するかのストーリーを発信し続けること。それは、病気が治った後の人の姿について、あまり情報がないことからでした。 「もちろん、人の人生は十人十色なので参考にならない部分も多いと思いますが、それでも私の情報に触れて『私も頑張ろう!』『僕も実践してみよう』と思ってくれる人が一人でもいればいいな」という思いからこれからも発信を続けていきたいと話していました。 現在の相徳さんは、発症当初のような息切れや疲労感を感じることはなく、正常時の元気を取り戻しつつあるといいます。一方で、抗がん剤の影響で微熱がたびたび出たり、食事が十分にとれなかったりということも…。 血液のがんは免疫が下がった状態が続き、細菌やカビ、ウイルスによって重篤な合併症を引き起こす可能性があるため、衛生にとにかく気をつけながら日々を過ごしていると語ってくれました。 27歳という若さで「悪性リンパ腫」を発症した相徳さん。 「がんになったけど、面白おかしく生きていたい」そう考えるようになるまでには、たくさん苦しいことや辛いこともありました。病気になったことをポジティブに捉えるのはなかなか難しいかもしれません。しかし、相徳さんの発信によって、力をもらえた方も多いのではないでしょうか。 「復活できたら、ぜひ私が束ねる花束を迎えに来てください」と語る相徳さん。大変な病気を乗り越えてきた相徳さんの作る花束は、きっと以前とは何か違う気持ちがたくさん詰まった素敵なものになるでしょう。花束を受け取る方々が笑顔となり「生きてきてよかった」と感じられる、そんなお花屋さんに復活できることを願います。
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