終末期の患者4000人の生に寄り添う 最愛のわが子も看取った緩和ケア医、関本雅子さん 一聞百見
剛さんは45歳で他界。生前に撮影したビデオメッセージには「また会いましょうね」とほほえみながら手を振る姿が残されている。最後まで診察のほか、講演やシンポジウムを引き受けた剛さんの遺志を継ぎ、緩和ケアの普及啓発活動も続けている。
「剛に『やれよ』って言われている気がするんです。与えられた大切な一日、やりたいことを心を込めてやっていくのみ」
死を見つめることは、今ある命を見つめること。がんであろうとなかろうと、病気であってもなくても、すべての人が限りある時間を生きている。(田野陽子)
◇せきもと・まさこ 昭和24年、神戸市生まれ。神戸女学院高等部を経て、昭和49年、神戸大学医学部を卒業。麻酔科医として、神戸大学付属病院、神戸労災病院などで約20年間勤務した後、平成6年、六甲病院に全国で16番目となる緩和ケア病棟(ホスピス)を立ち上げた。医長を務め、平成13年には実家を建て替え、在宅緩和ケアを主とする「関本クリニック」を開院。現在は、「かえでホームケアクリニック」顧問を務めている。