「論破好き」はモラハラの典型例?夫に論破され続け、心が壊れていった私は
夫婦問題・モラハラカウンセラーの麻野祐香です。 モラハラ(精神的DV)をする夫と話し合いをしたくても「何度話しても通じない」「話をすり替えられる」「私が悪いと決めつけられる」そんなことが続き、意思の疎通がうまくいかない方々がたくさんいらっしゃいます。今回は夫との話し合いがまったく進まないAさんのケースをご紹介します。 【データ】10人に1人が、配偶者からの繰り返しDVを受けている
話が通じないモラハラ夫
Aさんは結婚15年目の主婦です。家事に支障が出ないよう配慮しながらパートで働き、家庭を支えています。しかし、銀行員の夫は家事や育児に完璧を求め、ことあるごとにAさんを否定します。さらに、Aさんがなぜそうなってしまったのか理由を説明すると必ず論破し、誇らしげな顔で「君は間違っているんだよ。僕の言うことを聞くことが、君にとって一番最善なんだよ」と言うのです。夫は家の中が常に整然としていないと気が済まない性格で、テレビのリモコンひとつが曲がっているだけで機嫌が悪くなるほど神経質な人でした。 その日、パート先ではインフルエンザが流行し、スタッフが不足していたため、Aさんは予定より3時間遅れての帰宅となりました。慌てて家に帰り、夕食の準備を始めたところ、夫はその日に限っていつもより早く帰宅していました。 「なんだ、この散らかりようは!食事もできていないのか!」 夫の鋭い声が響きます。 「すぐに片付けてご飯を作るから、少し待ってて。今日はパートが延びてしまったの。」 精一杯説明したものの、夫の表情は険しいままでした。 夫の機嫌は一向に治らず、Aさんは胸が締め付けられるような思いを抱えながら、急いで片付けを続けました。Aさんの夫は、家の中が整然としていることに異常なまでのこだわりを見せ、その秩序が乱れると機嫌を悪くするというモラハラの典型的な特徴を持っています。リモコンが少し曲がっているだけで怒りを露わにするのは、単なる神経質ではなく、自分の価値観やルールに従わせることで妻を支配しようとする心理が表れています。 モラハラの本質は、相手をコントロールし、支配することで自己の安心感を得ようとする行動です。自分の価値観に従わないAさんを責め立てることで、夫自身が家庭内での支配権を維持しようとしているのです。その上、妻の事情(仕事の延長や疲れ)を聞こうとせず、自分の不満だけを強調するのは、相手の感情や状況に対する共感が不足しているためです。共感できないのは、相手の立場に立つ余裕がない、自分の不安や苛立ちを優先してしまうモラハラの特徴が現れています。