皮を食べないと大損する野菜や果物、トマトやニンジン、柑橘類やキウイも!
リンゴ
リンゴの場合、「一番栄養があるのは皮の部分です」と、登録栄養士であり米ボストン大学の栄養学教授のジョアン・サルジ・ブレイク氏は言う。皮付きの実には皮なしより「ビタミンKが3倍、ビタミンAが1.4倍、ビタミンCが1.1倍多く含まれています」 「リンゴの皮は、水溶性と不溶性の食物繊維や、抗酸化力の高いケルセチンも豊富です」と、前出のバジリアン氏は説明する。「それに、皮ごと食べると噛む回数が増え、食べるスピードもゆっくりになります」 生のまま食べる場合でも、料理に使ったり焼いて食べたりする場合でも、リンゴの皮はむかなくても大丈夫だ。皮のまま丸ごとオーブンで焼くのもよし、細長くむいた皮を焼いてシナモンを振りかけるのもよし。おやつやデザートとして、おいしく食べよう。
ニンジン
生のニンジンの皮は、重量では全体のわずか11%に過ぎないが、抗酸化作用のあるフェノール酸の含有量では54%を占めることが研究で分かっている。カロテノイド、ビタミンK、ナイアシン、ビタミンCも、ニンジンの実の部分よりも皮の方に多く含まれている。 ニンジンは、野菜用ブラシを使って流水で洗い、生のまま食べるか調理して食べる。 「ピーラーで薄くむいた皮をエアフライヤーで調理すれば、カリカリ食感のスナックになります」と教えるのは、米ニューヨーク市を拠点に活動する栄養士で、野菜や果物中心の料理を得意とするシェフ、ジャッキー・ニュージェント氏だ。皮をピーラーで細長くむいてリボンのようにして、サラダの飾りに使うのもいい。
柑橘類
オレンジやグレープフルーツ、レモン、ライムの皮には、ビタミンCやカロテノイドが果肉よりも多く含まれているだけでなく、ヘスペリジンという強力な抗酸化物質も豊富だ。ヘスペリジンには抗炎症作用があり、血糖値の調節にも役立つという。 2009年に学術誌「Nutrition and Cancer」に発表された研究では、柑橘類の皮を普段からよく摂取している米アリゾナ州の人々は、皮膚に扁平上皮がんを発症するリスクが34%低いことが分かっている。 また、2022年4月に医学誌「Nutrients」に掲載された別の研究では 、柑橘類の皮には神経を保護する効果があり、高齢者の認知機能を改善させる可能性が示唆されている。 さらに、2023年3月に学術誌「Molecules」に掲載された研究 では、ライムの皮に含まれる物質は、ヒトの肝臓がん細胞に対してさまざまな抗がん作用があることが発見された。 こういった情報を聞くと、さっそく柑橘類の皮をすりおろして、サラダやスープ、シチュー、焼き菓子などに加えたい気分になるだろう。柑橘類の皮は、米料理や鶏料理、魚料理、グリル野菜やロースト野菜の味付けにも使える。タイ料理には、ライムの皮を使うスープや煮込みがある。 また、アユーブ氏によると、「地中海料理では、食事の最後に柑橘類の皮の砂糖漬けを食べるという昔ながらの伝統があります」とのことだ。