解決まで300年超の「フェルマーの最終定理」を、なんと「中学数学」で探究…座標にとったら「奇妙な形」が現れた
「数学的なセンス」とはなんでしょうか。 数学の問題を「正確に速く解く」うえで,計算技能に習熟することは大切ですが,「数学センス=計算力」では決してありません。数学的なセンスとは,数学を楽しみ,問いを掘り下げ,「数」や「図形」の世界についてより深く理解するための道筋を自らたどることができる能力です。 【画像】三平方の定理と、2つの2乗した数の和が成立する自然数の組み合わせを見る 〈理系に強い子ども〉に育てたい親御さんが増えていますが,「数学センス」を磨くことがその近道です。そしてそのエッセンスは,じつは「中学数学」に詰まっているのです! 中学3年間で学ぶ重要ポイントを抽出し,教科書では習わない視点でとらえなおす「新しい時代の新しい勉強法」をご紹介する『中学数学で磨く数学センス』から,数学を楽しみ,「数学センス」を磨くためのポイントをご紹介していきましょう。今回は,三平方の定理の中の3つの数の2乗を,3乗,4乗にしてみましょう。解が整数となる組み合わせがあるでしょうか。 *本記事は、『中学数学で磨く数学センス』(ブルーバックス)を抜粋・再編集したものです。
三平方の定理の2乗を3乗、4乗にしたら、どうなる?
三平方の定理(a²+b²=c²)は,3つの数の2乗和を結んだ形をしている。 それでは,2乗を3乗に,あるいは4乗にしたら,a³+b³=c³やa⁴+b⁴=c⁴を満たす整数解の組a, b, c は存在するだろうか? という疑問が自然に生じてくる。 これを一般化したものは,ピエール・ド・フェルマー(1607~1665)が提唱した難問として知られ,「フェルマーの最終定理」とよばれている。 フェルマーの最終定理 nを3以上の自然数とすると,aⁿ+bⁿ=cⁿは整数解をもたない。 フェルマーの最終定理は1995年,アンドリュー・ワイルズによって完全に証明された。 aⁿ+bⁿ=cⁿを満たす自然数a, b, c が存在するとき,cⁿで両辺を割ると,(a/c)ⁿ+(b/c)ⁿ=1である。ピタゴラス数と同様に考えると,xⁿ+yⁿ=1を満たすx座標とy座標がともに有理数である点がないことを意味する。 x³+y³=1やx⁴+y⁴=1を座標平面上に表すと,どのようになるだろうか。