チョコを食べると恋をする? フェニルエチルアミンは本当に効果があるのか
バレンタインにチョコレートをあげる意味
とすると、「バレンタインデーにチョコレートをあげる意味なんてないじゃん」と思われるかもしれません。ですが、たとえ恋の効果がなくとも、チョコレートは美味しいです。食べると幸せな気分になれます。バレンタインの時期にしか出合えないレアなチョコレートもあります。買って自分で食べるのもいいですし、シェアするのも良いですよね。 ちなみに、心理学で「好意の返報性」という言葉があります。相手からの好意を感じた時に自分も好意を返そうという心理が働きやすい、という意味です。現実の世界では、必ずしも好意が返って来るわけではないですし、受け取った側もお返しを強要されていると感じる必要はありません。ただ中には、チョコレートをもらって嬉しかったからお返ししたいと思える人はいるでしょうし、チョコレートをもらって嫌な気分になる人も少ないのではないでしょうか。バレンタインデーという年に一度のイベントを、純粋に自分なりに楽しんでみてもいいかもしれません。
◎日本科学未来館 科学コミュニケーター 森脇沙帆(もりわき・さほ) 幼少期から親の転勤でさまざまな土地で育つ。学問も家庭科教育(中でも食品工学)、博物館学、構造生物学とさまざまな分野をかじる。趣味は博物館に行き展示方法を観察すること。2017年4月より現職
《編注・参考文献》 1:Helen E Fisher, Arthur Aron, and Lucy L Brown (2006) “Romantic love: a mammalian brain system for mate choice” Philos Trans R Soc Lond B Biol Sci. Dec 29; 361(1476): 2173-2186. 2:Gozal EA, O'Neill BE, Sawchuk MA, Zhu H, Halder M, Chou CC, Hochman S (2014). “Anatomical and functional evidence for trace amines as unique modulators of locomotor function in the mammalian spinal cord.“ Front Neural Circuits. Nov 7;8:134. 3:L S Seiden, K E Sabol, G A Ricaurte (1993)“Amphetamine: effects on catecholamine systems and behavior. ” Annu. Rev. Pharmacol. Toxicol. 33:639-677 4:Sabelli HC, Javaid JI. (1995) “Phenylethylamine modulation of affect: therapeutic and diagnostic implications.” J Neuropsychiatry Clin Neurosci. Winter;7(1):6-14. 5:Helen Fisher, “The Nature Of Romantic Love.” THE JOURNAL OF NIH RESEARCH APRIL 1994 VOL.6:59-64 6:Sabelli HC, Carlson-Sabelli L, Javaid JI. (1990). “The thermodynamics of bipolarity: a bifurcation model of bipolar illness and bipolar character and its psychotherapeutic applications.” Psychiatry. Nov;53(4):346-368. 7:Sabelli HC (1991). “Rapid treatment of depression with selegiline-phenylalanine combination.” J Clin Psychiatry May;52(5):241. 8:Anthony Walsh「The Science of Love : Understanding Love and Its Effects on Mind and Body」 (1991) 9:食品安全委員会ホームページ「フェネチルアミンの概要」(第80回添加物専門調査会 資料2-1)(2019/02/01最終確認) JECFA WHO Food Additives Series 56,(2006)“Safety evaluation of certain food additives and contaminants” 10:「チョコレートの魅力:それは心理的なものか生理的なものか?」デビッド・ベントン チョコレート・ココア国際栄養シンポジウム第16回(2011年9月16日開催)講演録より 11:一般社団法人全国発酵乳乳酸菌飲料協会 発酵乳乳酸菌飲料公正取引協議会 食生活と健康情報「脳機能に影響を与える食品成分」静岡県立大学 食品栄養科学部及び大学院生活健康科学研究科 教授 横越 英彦(2019/01/30最終確認) 《その他の参考文献》 ・Michael Liebowitz「The Chemistry of Love」(1983) ・国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:「健康食品」の素材情報データベース(カカオ)https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail3356.html(2019/01/30最終確認) ・「人はなぜ恋に落ちるのか?」(著)ヘレン・フィッシャー/(訳)大野 晶子