和田秀樹「うつ病・躁うつ病と診断された人は24年前より4倍近く増加!パワハラは減ったのになぜメンタルを病む人が増えているかというと…」
◆精神疾患が理由の労災認定も増えている いったいなぜ、メンタルを病む人がこんなに増え続けているのでしょう。 昔にくらべて日本人のメンタルが極端に悪くなりやすい要因が、ここ数十年の間に増えたのでしょうか。 現代では、少なくとも職場環境に関しては、国が推し進めている「働き方改革」で、かなり改善されているところが多いはずです。 週休2日は当たり前で、祝日も増え、定時に帰ることが半ば強制されている会社も少なくありません。 パワハラもかなり厳しく対応されるようになったため、上司から理不尽な叱責を受けたり、無理な仕事を強いられたり、責任を押し付けられたりするようなことも、以前より減ったと考えられます。 さらに最近は、終身雇用や賃金の年功序列などを見直す機運が増し、転職もしやすくなっています。 そういう意味では、職場環境は以前より働きやすい方向へ向かっているはずです。 ところが、2020年の厚労省の調査では、今の仕事に強い不安やストレスを感じている人は54・2%もいて、主な理由は仕事の「量・質」「失敗、責任の発生」が挙げられています。 しかも、仕事が原因でうつ病などの精神疾患を患い、2021年度に労災の申請をした件数は2346件で、そのうち労災支給が決定(認定)された件数は過去最多の629件。 昭和の時代を上回っているのです。 最大の原因は「仕事の質・量」で、「上司などからのパワハラ」も同程度に多かったと報告されています(厚生労働省「過労死等防止対策白書より)。
◆若い世代ほど精神疾患による休職者の割合が高い? 約79万人の地方公務員を対象とした調査でも、病気で長期間休んでいる人の61・3%が「精神及び行動の障害」が原因とされており、こちらも年々増加しています。 文部科学省の調査によれば、全国の公立学校の教員のうち、2022年度に精神疾患で休職した人は6539人(前年度比642人増)。 2年連続で過去最多を更新したと報告されています。 さらに、精神疾患で1カ月以上の病気休暇を取った教員と合わせると、1万2192人に上ったといいます。 この調査では、若い世代ほど精神疾患による休職者・休暇取得者の割合が高いことが明らかにされています。
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