和田秀樹「うつ病・躁うつ病と診断された人は24年前より4倍近く増加!パワハラは減ったのになぜメンタルを病む人が増えているかというと…」
WHO(世界保健機関)の推定では、うつ病患者は人口の約3%いるとされており、心を病む人の人数は年々増加の一途をたどっています。精神科医・心療内科医の数は増え、メンタルクリニックも増えているのに、メンタルを病む人がなかなか良くならない「本当の理由」とは何なのでしょうか?よりよい医療を受けるためのヒントを、精神科医 和田秀樹氏著書『「精神医療」崩壊 メンタルの不調が心療内科・精神科で良くならない理由』から一部を抜粋して紹介します。 【図】職場環境は変わっているはずなのに、メンタル不調の人はなぜ増加しているのか?精神科医 和田秀樹氏著『「精神医療」崩壊 メンタルの不調が心療内科・精神科で良くならない理由』 * * * * * * * ◆増加の一途をたどる精神疾患の患者数 メンタルの不調を訴える人は、年々増加の一途をたどっています。 厚生労働省の最新の「患者調査」によると、2020年の段階で精神疾患を有する患者の総数は614・8万人と報告されています。 過去3年の間に急激に増えたように見えますが、2020年から統計の取り方が変わったためです。 しかし、年々メンタルを病む人が増えていること、そしてその総数が600万人を超えていることはまぎれもない事実です。 うつ病・躁うつ病と診断された人は約172万人で、24年前とくらべて4倍近く増加しています。 これだけでも驚きますが、WHO(世界保健機関)の推定では、うつ病患者は人口の約3%いるとされています。 したがって、数値に表れている受診中の患者は半分程度にすぎず、潜在患者を含めると(1億2000万人×3%で)300万人をゆうに超えると考えられます。 男女とも50代が最もうつ病・躁うつ病が多いのがわかります。 統合失調症の患者数は約88万人にのぼり、3年前の調査データとくらべて9万人増加しています。 しかも、統合失調症は一般的に人口の0・7%存在するといわれていますから、実際には100万人程度は存在すると推定されます。 不安やパニック発作、恐怖、強迫観念などの神経症性障害については、2017年の調査結果ですが、約83万人と報告されていて、15年間で1・9倍増えています。 子どもの発達障害も、この13年でおよそ10倍に増えました。
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