映画化もされた介護付きシェアハウス、フェスやオーダーメイドの葬式も開催! ご近所さんも子どもも”ごちゃ混ぜ”に集うカオスさが介護の常識を覆す「はっぴーの家ろっけん」兵庫県神戸市
家族のように過ごした入居者を看取るのは、とても辛い体験だろう。ろっけんでは、なぜ、看取りまで行っているのだろうか。ケアマネージャーの岩本茂さんにたずねた。 岩本さんは、10年前、首藤さんと出会い、6年前から、ろっけんのケアマネージャーを務めている。ろっけんに転職する前も介護業界で働いていたが、入居者との別れに、釈然としない思いを抱えていた。 「通常、介護施設では、入居者さんが亡くなったあと、葬儀は業者に任せます。でも、息を引き取るまで、入居者さんや家族と関係をつくってきたのに、最後の送り出しの瞬間に全く知らない人にバトンタッチするのが嫌だったんです」(岩本さん)
介護の仕事は、法律や制度の枠組みの中で行われるため、飲食店のように自由に価格設定や提供するサービスを決めることはできない。まず事業を立ち上げ、その後にその事業のための具体的なアクションを考えるというアプローチが一般的だ。 「ろっけんでは、介護業界の枠を超えて、入居者にとって最も幸せなことは何かを考え、アクションを起こした結果として新しい事業が生まれるという形を取っています。葬儀まで行う看取りのサービスもそうして生まれました」(岩本さん)
岩本さんは、2024年4月に入居したひとりの末期がんの入居者Fさんに寄り添い、8月にろっけんで葬儀を執り行い、見送った。石川県輪島市で暮らしていたFさんは、能登半島地震で被災した後、終の住処としてろっけんへ。首藤さんの「毎日楽しんで走り切ってハッピーエンドで自由に旅立って欲しい」という思いもあり、大好きなたばこを吸うなど人生を謳歌し、余命宣告を受けていた5月を超え、蛍も見に行けるほどに。 トラック運転手だったFさんがたびたび話していたのは、仕事をしていたころの思い出話だった。そこで、岩本さんたちスタッフは、トラックを借りて運転席に乗せてあげようと計画。現役時代に勤めていた職場に電話すると協力を快諾してくれ、同僚に会いたいというFさんの願いを実現できた。
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