映画化もされた介護付きシェアハウス、フェスやオーダーメイドの葬式も開催! ご近所さんも子どもも”ごちゃ混ぜ”に集うカオスさが介護の常識を覆す「はっぴーの家ろっけん」兵庫県神戸市
自分で働きに行ける人から要介護5(生活すべてで介助が必要な状態)の高齢者、認知症の方、障がい者の方など、老いも若きも関係なくあらゆる人が入居するが、だんだん馴染んで居場所を見つけていく。
介護される人、する人に生まれた共感。看取りも「その人らしく」
ろっけんで大切にしているのは、「人間らしい」生活。人とつながり、よく笑い、気分よく暮らす、身体だけでなく心も健康的な状態のことを指す。ここでは、世話をする人、される人もなく、ベースは「共感」。入居者の中にはキャラが濃い人、他施設では受け入れられなかった人もいるが、口コミで広がり、この場所が好きな人たちが集まっている。 「“遠くのシンセキより近くのタニン”です。ぼくらは、入居者さんとの間に、お客様とスタッフという関係をつくりたいとは考えていません。入居者さん、スタッフ、遊びに来る若者や子ども達も含めて、暮らしを共に過ごす家族のような存在と考えています」(首藤さん)
まさに、その思いを体現した事例が、入居者、ナガタオサムさんとの関係づくりだ。パーキンソン病になり、ろっけんに入居してきたナガタさん。もともと写真家として活躍していたことを知ったスタッフは、「ナガタさんをもう一度アーティストに」という思いで写真部を立ち上げた。写真展や写真家としてのトークイベントを実施する中で、表現者としての力を取り戻したナガタさん。なんと、ろっけんで出会った若者に刺激を受け、新たにDJ活動を行うようになったというから驚きだ。現在、クライミングジムWAGOMU(※)でDJイベントを開くなど、生き生きと活躍している。 ※クライミングジムWAGOMU 「WAGOMU」は「Water Ground Mountain」の略。自然アクティビティと障がい者支援の経験を持つWAGOMUと、医療サポート組織を持つHappyが協力し、高齢者や障がい者など社会的マイノリティが自然環境に触れる機会を提供しようと立ち上げた。イベントスペースとしても活用されている。
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