テレワークが定着したらオフィスいらない? 都心の空室率、賃料はどうなる?【#コロナとどう暮らす】
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、多くの企業が「テレワーク」を導入し、在宅勤務が急速に普及しています。こうした中、創業間もないスタートアップ企業などを中心に、オフィスを引き払ったり、縮小したりする動きが相次いでいます。テレワークの実効性を確認し、広いオフィスを確保する必要性が薄れたと考えたためです。新型コロナを契機に働き方が見直される中、Yahoo!ニュースの「私たちはコロナとどう暮らす」特集には、テレワークの普及により「従来のオフィス街の需要は減るのでしょうか」とのコメントが寄せられています。今後の働き方の変容に合わせてオフィス需要や賃料は変わっていくのでしょうか。
空室率、リーマン後は8% 今回は?
オフィスビルに関する調査や需給分析などを行う、オフィスビル総合研究所(東京・中央)は5月29日、最新のマーケットレポートを公表しました。それによると、東京都心5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)のオフィスビルの空室率は、2020年第1四半期には0.6%となっているのに対し、3年後には4.8%に上昇すると予測されています。 その背景にあるのは、新型コロナウイルスの影響です。感染拡大防止策として、多くの事業者が営業自粛を余儀なくされ、経営状態が悪化。厚生労働省によると、新型コロナウイルスに関連した解雇や雇い止めは見込みも含めて2万4660人(6月12日時点)に上るということです。失業率が上がれば、労働者が減り、オフィスの需要が低下するとみられています。 同社は、緊急事態宣言の解除により、今後はプラスの経済成長が見込まれていることから、空室率の上昇に歯止めがかかり、2021年第1四半期以降は4%台半ばでの小幅な動きが続くと分析しています。 同社の代表取締役で、オフィス仲介大手、三幸エステートのチーフアナリストでもある今関豊和氏は、今回の新型コロナウイルスの影響について「空室率8%以上となったリーマン・ショックを超えるものではない」と話します。 「旅行業やイベント業など新型コロナの影響が大きかった業種では、オフィスの移転計画を見直す動きも出てきています。その一方で、経営への打撃は限定的だとして、現状のオフィスを維持する企業も少なくないはずです。特に大企業は、オフィスの移転や増床は大きな経営判断となるため、空室率の数値に現れるには時間を要するでしょう」