28年ぶりに連続打席無安打ワースト記録更新の阪神・佐藤輝明にスランプ脱出の“処方箋”はあるのか?
「すでに新人で23本塁打も打っているのだから佐藤が大きな可能性を秘めた打者であることに疑いはない。その長所を伸ばすために、あれこれ細かいことを言うのはマイナスかもしれないが、選球眼は指導したほうがいい。登録抹消前に比べてインハイのボールに対しては、まだバットが止まり、見極めができ始めているようにも思えるが、あそこまでボール球を振り過ぎると、どんなバッターでも打てなくなる」 佐藤への配球はワンパターンだ。インハイのストレートを意識させられ外角低めの変化球で仕留められるという配球のセオリーと言える対角線攻めに加え、上下の揺さぶりにも弱い。 三振「158」は両リーグワースト。23本塁打、60打点だが、打率は.244まで落ちてきた。 橋上氏は、巨人の“参謀”時代に、阿部慎之助(現2軍監督)らに“配球の読み”を指導して結果につなげたことがあるが、選球眼を改善するポイントは「読み」と「目付け」だという。 「配球を読めるなら読んだほうがいい。高さ、コース、球種を絞るべきだが、まず今すべきは目付けの位置を決めることだろう。なんでもかんでも来たボールを打つのではなく、まず打つボールの高さを決める。ストレートに力があるのか、ウイニングショットが変化球なのか、など相手投手のデータや特徴によって目付けの位置を変えていく必要がある。たとえば、ベルトより上は振らない、それ以下は振る、あるいは、変化球がいい投手であれば、逆に低めは捨てるという具合に目付けの位置を絞ることから覚えていけばいい。これは、試合の中でしかできない訓練だが、そういうトライをコーチが指導すべきだろう」 阪神の開幕からの快進撃を支えたのは佐藤のバットだ。 この日も、6回一死満塁、7回二死満塁と2度あった逆転機に1本が出ず広島に連敗を喫した。ヤクルトを追い抜くラストスパートには、球場やベンチの空気も一変させてしまう佐藤のホームランという爆発力が必要になる。 23日に1軍復帰して以来、5試合連続でスタメン出場していた佐藤は、この日、ついにスタメンから外された。同じく不調のサンズを「先に外すべきではないか」という声もあったが、ベンチは九里との相性の良さを優先させたのだろう。 橋上氏は、佐藤の起用に関しては、こんな意見を持つ。 「佐藤の代わりの選手は誰なのか。糸井なのか、ロハスなのか。絶対的な代役がいないのであれば、佐藤を7番に置いておき選球眼を学ばせながら使った方がいいだろう」 先の巨人戦では「爪痕を残したかった」と満塁で走者一掃の二塁打を放ち、ベテランらしさを示した糸井だったが、この日は、4回一死一、二塁、7回二死満塁と2度のチャンスで打てなかった。特に7回は左腕のバードがコントロールに苦しんでいたにもかかわらず、最後はフルカウントからボールの変化球に手を出しスイングアウト。その前のインサイドのストレートの残像が残っていた影響かもしれないが、佐藤の代役というベンチの期待には応えることができなかった。今日の広島の先発は左腕の玉村。矢野監督はライトに誰を起用するのだろうか。そして佐藤はトンネルをいつ脱出できるのか。