なぜ今V争いの最中に?阪神の矢野監督への続投要請”公表”の異例タイミングを巡って賛否
阪神の藤原崇起オーナー兼球団社長は18日、矢野燿大監督に来季の続投要請を行っていたことを発表した。優勝争いが佳境の時期にオーナー自らが正式発表するのは極めて異例で、この続投要請のタイミングを巡ってネット上でも賛否両論が起きている。その影響を懸念する声もあるが、阪神は同日、甲子園で行われた中日戦に1-0で勝利。先発左腕の高橋遥人が7回95球を投げ2安打10奪三振無失点の好投を見せ昨年10月24日の巨人戦以来、329日ぶりとなる今季初勝利をつかんだ。
続投決定後の失速が阪神”あるある“?
V争いの最中に異例の発表があった。 中日戦の試合前に唐突に藤原オーナー兼社長の代表取材が広報により設定され、16日に甲子園の球団事務所内で矢野監督に続投要請を行っていたことを公表したのである。 首位を守っているが、試合前の時点で2位のヤクルトと2ゲーム差、3位の巨人とは3ゲーム差。しかもまだ30試合を残している段階での続投発表は異例と言える。もちろん12球団でトップを切っての来季の監督人事の決定。阪神では、過去にも真弓明信監督、和田豊監督の時代に早いタイミングで続投そのものは決定してオーナーがそれを匂わせるコメントをメディアに発信し監督本人に内々に伝えられていることはあった。だが、オーナーが、直々に続投を要請して、その事実をオーナー自身が明らかにするのは、シーズン終了後の“儀式”だった。それを2位に大差をつけての独走でもしているのならまだしも優勝争いの真っ最中に行うのは異例中の異例だ。 SNSやネット上では矢野監督の続投そのものに関しては支持する声がほとんどを占めている。1年目が3位、2年目が2位。そして今季は開幕から首位を走り、V争いをしているのだから当然だろう。ただ、この発表のタイミングについては、批判の声が噴出して議論となった。 「公表する時期が早すぎるのでは?」「シーズンが終わってからでいい」という意見だ。 過去の例を引き合いに出して「続投決定後の失速が阪神あるある」だと、その悪影響を不安視する意見も少なくなかった。 2008年には、巨人に最大13ゲーム差をつけて首位を独走し、今回のようにオーナーがメディアに公表することはなかったが、本社、球団内部では岡田彰布監督の続投が決まり報道もされた。だが、その後、巨人の猛追を受け大失速して優勝を逃すこととなり岡田監督が責任を取り辞任したケースがあった。 3年前には同じく公表はされなかったが、続投が内定していた金本知憲監督が、最下位確定後に、どんでん返しで“解任”されたケースもあり、そういう“負の効果”を心配する声もある。 続投決定によって3年契約の切れる矢野監督のプレッシャーが除かれ采配に余裕と思い切りが出るのか。あるいは逆に“ゆるみ”や油断となるのか。選手も安心しチームに一体感が増すのか、逆にバラバラになるのか。賛否の声が出てきても無理がないほど、異例のタイミングでの発表であることは確かだ。