坑道を潜り採掘の様子をリアルに体験 1300年の歴史重ねる秋田・史跡尾去沢鉱山 味・旅・遊
雪化粧を始めた八幡平を望む秋田県鹿角市に、1300年の歴史がある「史跡尾去沢(おさりざわ)鉱山」を訪ねた。閉山後も坑道や設備がリアルに保存され、かつてのヤマの活気を体感できる。坑道内は通年13度前後なので冬も夏も快適。金相場暴騰で注目の砂金採り体験、地元菓子店の鉱山にちなむ銘菓、比内地鶏のランチも楽しんだ。 ■気温は通年13度 金、銀、銅などを産出した尾去沢鉱山は和銅元(708)年の発見で、金は奈良・東大寺大仏や岩手・中尊寺金色堂などに使われたという伝説がある。昭和53年に閉山。国の近代化産業遺産になっている。 石切沢通洞坑は坑口の赤レンガ擁壁が緑の松林に映える。鉱石や資材を運ぶ鉱車(トロッコ)軌道跡が続く幅2メートル、高さ2・2メートルの観光坑道に入るとすぐにむき出しの岩盤になる。 「空気は暖かい方へ流れ冬は外から坑内、夏は坑内から外に風が吹くが、坑内は通年(気温)13度前後」と同史跡部長の小田切健太郎さん(48)。気温4度の外に比べれば快適だ。 観光坑道は1・1キロ約30分の標準コースと、さらに600メートル(約10分)続く特別コースがある。 岩盤には銅鉱脈が電灯に照らされてキラキラ輝き、塞がれてはいるが、あちこちに枝分かれ口があり、坑道の広がりを物語る。 大規模採掘跡では坑道わきに鍾乳洞のような上下60メートルの巨大な隙間が広がる。同鉱山は地表に向かって延びる鉱脈に沿い30メートルごとに水平坑道が15段うがたれており、この採掘跡は観光坑道を挟んで上下の水平坑道まで鉱脈を掘った跡だ。 エレベーターもある立て坑が水平坑道を上下に結ぶなど、坑道の総延長は800キロにも及ぶという。 ■純金砂金採りも 特別コースには広場があり、テーブルにお茶が用意されて弁当を食べる坑内休憩所、打ち合わせなどを行う坑内事務所もあり、往時の作業員らの姿が人形でリアルに再現されている。 さらに進むと連結した鉱車を牽引(けんいん)する蓄電池式機関車が現れた。今も運行しているかのような迫力に驚く。要所ごとに採掘のための各作業が当時の機材や人形を使って保存・再現されている。