坑道を潜り採掘の様子をリアルに体験 1300年の歴史重ねる秋田・史跡尾去沢鉱山 味・旅・遊
出口近くでは江戸時代の「慶長の坑道」につながり、金山奉行所や当時の採掘、地下水くみ出しなどの様子が再現されている。
ひと回りして神秘的な地底の様子や最盛期は4500人が働いた鉱山(ヤマ)の活気を生々しく体感できた。小田切さんは「明治以降の近代坑道でここまでリアルに保存・再現している鉱山跡はほかにない」と胸を張る。
見学後は天然石掘り、純金砂金採りも楽しめる。砂金は純金粒子をわざわざ混ぜており「平均3~4個、多い人は10個以上採る」(小田切さん)。ただ12~4月下旬は休止。
岩手県滝沢市から子供2人と妻の4人で訪れた男性(39)は「自分が小さいころにきて印象に残ったので、子供たちにも体感させたかった」と満足そう。
史跡から車で数分の石川菓子店で、細長いゆべしに砕いたクルミをたっぷりのせた名物「大直利(おおなおり)」(約120グラム、200円)のおやつ。「100年前に兄弟を落盤事故で亡くした初代が鉱山から菓子作りに転身した。大直利は鉱物が多い良質の鉱石のこと」と4代目おかみが話す。
車でさらに7~8分で鹿角市中心地の花輪。社会福祉法人花輪ふくし会の「御食事処ぐりとる」でランチ。比内地鶏の肉と卵、ガラスープを使った親子丼(1千円)は「毎朝炭火をおこして炙る」(ママさん)だけに、肉の歯応えとうまみが際立っている。
(八並朋昌)
■史跡尾去沢鉱山
年中無休で午前9時~午後3時半(4~10月は午後5時まで)。東北道鹿角八幡平ICから車で10分、JR花輪線鹿角花輪駅からタクシー10分。坑道内には酒の貯蔵所もあり、売店では「坑内特別貯蔵酒 尾去沢鉱山」も販売。