どうなるSHEIN? 関税免除の撤廃、第二次トランプ政権による厳しい課税など越境ECの少額輸入規制を進める米国の動向
800ドル以下の小口貨物には関税を課さずに簡易な手続きだけで輸入できる米国の制度「デミニミスルール」(通称)の恩恵を受けている、ファストファッションブランド「SHEIN(シーイン)」をグローバル展開するSHEIN Grpup(シーイン・グループ)。そのSHEIN Grpupは米国税関・国境警備局(CBP)の試験的な税関検査プログラムに参加し、自社の透明性やコンプライアンスを遵守する姿勢を示しています。しかし、米国政府は2024年9月にデミニミスルールの改正を発表。SHEIN Grpupは通関免除の恩恵が受けられなくなることになり、強固に反発しています。
米国の試験的税関プログラムに参加
SHEIN Grpupは2024年初頭から、CBPの試験的プログラム「セクション321データパイロット」に参加しています。
「セクション321データパイロット」はグローバル展開するEC事業者や輸送業者などが貨物の通関を効率化できるようにする一方で、CBPが違法性や危険性のある貨物を特定し、税関をすり抜けてしまわないように検査の対象とすることができるかどうかをテストするものです。
SHEIN Grpupは、競合の越境ECサイト「Temu(ティームー)」を展開している中国EC大手PDDHDと供に、1930年に制定されたアメリカ関税法第321条、通称「デミニミスルール」の恩恵を受けています。これは、800ドル以下の小口貨物には関税を課さずに簡易な手続きだけで輸入できる制度です。 「セクション321データパイロット」の試験運用は、この条項にSHEIN Grpupのビジネスが大きく依存していると考える米国議員からの監視の目が強まるなかで立ち上がりました。 デミニミスルールの適用により、個人が1日あたり800ドルまでの商品を輸入する場合、申告義務が少なく、関税も税金もかかりません。この規定により、低価格の貨物の輸入が効率化される一方で、偽造品や麻薬などの違法商品がすり抜けやすくなってしまいます。 SHEIN Grpupの広報担当者は、米国のEC専門誌『Digital Commerce 360』の取材に対し「SHEIN Grpupは、輸入時のコンプライアンス遵守を最優先事項としており、その中にはデミニミス規定に関する米国法上の報告義務も含まれています」とメールで回答しました。「セクション321データパイロット」に自主的に参加したことで、SHEIN Grpupは自社の透明性と、コンプライアンスを遵守する姿勢を対外的に示していると言えます。