松坂桃李、役者の矜持「マックス出しても作品できれば反省」
台本を徹底的に読むことから始まる役作り
松坂の役作りは台本を徹底的に読むことから始まるという。 「台本なのか原作なのか、とにかくひたすら読むことから始めます。現場に入るまでに何かヒントを得られるだろうと。1回読んだだけではわからない部分もあるので、集中して読み終えたあとまた時間を空けて読んでみると、最初とは違ったものが見えますし新たな理解もできます。1回目でもやっとしたものが2回目ですっきり晴れて読めたり。でも3回目に読んだときにまた別のもやがかかったりということもあります。そういう繰り返しの中で作品の核になる部分をどんどん探し出して行く。ちょうど彫刻を削り出してだんだんと形が浮き彫りになっていくような感覚に近いと思います」 出てくる言葉はまさに芝居ひとすじ、役者の言葉そのものだが、松坂は最初モデルとして芸能界に関わるようになった。1988年神奈川県は茅ヶ崎の出身。大学までは地元から通っていたという。当時を振り返る。 「小学校低学年の頃は活発で外に出て1人でも遊ぶ子だったのですが、学年が上がって行くにつれてインドアな感じになっていった印象があります。それで大学仲間と今どきのノリと言いますか『ちょっとお前、受けてみろよ』っていう感じで『FINEBOYS』という雑誌のオーディションに応募したらグランプリをいただいて専属モデルになりました。最初はポージングも上手にできず怒られたりしましたが、他のファッション誌のモデルさんを参考にしたりしていましたね」 それが2008年のこと。翌年には戦隊シリーズで俳優デビュー。11年公開の映画「アントキノイノチ」、「僕たちは世界を変えることができない。But,we wanna build a school in Cambodia.」で第85回キネマ旬報ベスト・テン新人男優賞、第33回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞に輝く。12年には「梅ちゃん先生」でNHK連続テレビ小説初出演。同年公開の映画「ツナグ」では第36回日本アカデミー賞新人俳優賞をはじめ数々の賞に恵まれる。14年「軍師官兵衛」でNHK大河に初出演、17年にはNHK連続テレビ小説「わろてんか」で葵わかな演じるヒロイン・藤岡てんの夫・北村藤吉役を好演し知名度をさらに高めた。そして18年公開の前作「孤狼の血」では第42回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞をはじめ数々の賞に輝き、19年公開「新聞記者」では第43回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞と、まさに順調にキャリアを重ねてきた感がある。