芸能プロダクションのワタナベエンターテインメントは3日、公式サイトにSNS利用に関するお願いを掲載した。「【応援してくださる皆様へ】SNS利用に関する大切なお願い」としてファンに日頃の感謝を述べるとともにルールを守っての応援に協力を呼びかけている。

同社公式サイトで著作権など詳細に説明

　THE PAGEの取材に同社では今回の掲載の趣旨について「パブリシティ権などの権利を守ることが一つと、無断複製や誹謗中傷などSNSが悪用されるケースもあるので適切な措置をとると警鐘を鳴らす意味もあります」と説明。掲載後に多数の問い合わせが届いているとのことで「一般の方々から多く反響をいただいております。より良いものにしていくため現在ひとつひとつのご意見について精査しているところです」としている。精査のうえでさらに細部をつめて改善される可能性もあるとのことだ。 　あくまで現時点で発表されている内容となるが、下記のようにまとめられている。 　まず肖像権と著作権について詳細に解説。肖像権については「プライバシー権（人格権）」と「パブリシティ権（財産権）」に分けて、著名人に限らず誰もがプライベートな写真や映像を撮影されたり無断で公表されたりしないよう主張できる権利としてプライバシー権について説明。パブリシティ権については著名人の肖像や氏名には顧客を商品などに引きつける顧客吸引力が生まれ著名人の財産である肖像、写真、氏名などを無断で利用、販売、公表することはパブリシティ権の侵害行為になると指摘している。 　続いて著作権については写真、映像、音楽、ロゴ、ホームページのデザイン、絵画などの著作物を創作した者（著作者）に与えられる権利であると説明、著作物を著作者に無断で複製しSNSを著作者含むインターネットで配信することは著作権の侵害になると指摘している。

どこまでならOKか？　現段階での同社見解は

　では具体的にどこまでがOKでどこからがNGなのか？という点については「OK行為」「NG行為」に分けて具体的に解説。現状ではアーティストの公式アカウントやスタッフ公式アカウントの投稿について「リポスト」「リツイート」機能を使用して共有することはOKとしているが共有の際に加工やコメントなどでアーティストやファンを不快にさせたり誹謗中傷だと思われるものについては名誉毀損として責任を問われる可能性があるとしている。 　ほかにOK行為としてはアーティストの楽曲を使って歌ってみた、演奏してみた、踊ってみたなどの動画を自身のSNSや動画投稿サイトにアップすることをあげているが、権利者の許諾が必要なので、JASRACやNexToneといった著作権管理団体と許諾契約を締結しているサービスであれば個別に申請をせず投稿可能であると解説している。 　また同社ではアーティストの画像をSNSアイコンとして使用することについて今のところは原則として取り下げ依頼はしていないと説明。「アーティスト写真」「アーティスト公式アカウントに投稿された画像」「雑誌や写真集の表紙」「ポスターや看板」「CDのジャケット写真」などを撮影してSNSアイコンとして使用することについては本来なら肖像権や著作権を侵害する行為となるものの同社アーティストへの好意的な応援と受け取れる使用については許容しているとのことだ。ただし逆にアーティストの評価や価値を下げたり悪質と判断されるものについては注意や取り下げ依頼をするという。また、販売元や出版元によっては禁止していたり、取り下げ依頼をされている場合もあると指摘している。