2024年のAmazonプライムデー、過去最高売上高を記録する見通し。物価高や中国勢の影響は?
Amazon年間最大のセールイベント、プライムデー(Prime Day)。データインテリジェンス企業シミラーウェブ(Similarweb)によれば、2日間に及ぶ今年の同イベントは、昨年を上回る147億ドル(約2兆3740億円)の売上を記録することが見込まれているという。 シミラーウェブはこの売上増をAmazon.comの1~5月の売上傾向を追跡して割り出しているが、もしこれが現実のものとなれば、昨年の約130億ドル(約2兆990億円)という記録を14%超上回る、過去最大のプライムデーとなる。Amazonによれば、昨年の同イベントでは、バーゲンに飢えた買い物客により、全世界で3億7500万点以上のアイテムが購入されたという。6月下旬に行われた公式発表によると、今年のプライムデーは7月16~17日に開催される。 シミラーウェブによるこの分析は、さまざまな要因を基に割り出されている。シミラーウェブの概算では、たとえば、Amazon.com上のアクティビティは昨年と比較して売上ベースで10%増加している。販売個数とトラフィックも、それぞれ前年比で14%と7%増加している。
消費者が直面する金利上昇と物価高
引き続きしぶといインフレが支出に重くのしかかってはいるが、大幅なディスカウント目当ての買い物客がプライムデーを大いに盛り上げることになりそうだ。米モダンリテールがすでに報じているように、消費者はかつてないほどバーゲンに目を光らせるようになっている。金利の上昇により、大きな買い物の資金調達にもコストがかかるようになっているからだ。 データを見る限りでは、6月に入ってインフレもいくらか弱まってきたが、金利と物価の上昇は依然として続いており、米国内の消費者信頼感はむしろ悪化している。5月の米小売売上高も低調で、消費者が直面している経済的圧力が続いていることを示唆した。 シミラーウェブによれば、Amazonの平均販売価格は前年比で3%下がっているという。これは、物価高が買い物客をバーゲンへと走らせていることの証しだ。また、プライムデーでもっとも売れるカテゴリーのひとつである家電の売上も、5月に前年比で10%の下落を記録した。これもまた、プライムデーのディスカウントを見越して、買い物客が高額商品の購入を見送っていることの証しとなる。 シミラーウェブでeコマースリサーチリーダーを務めるイネス・デュランド氏は、「インフレが落ち着きつつあっても、依然として消費者には大きなプレッシャーがのしかかっている」と語る。「消費者の大多数は、こうしたバーゲンを利用して、使うお金以上のものを手にしたいと思っている」 筆者はAmazonにもコメントを求めたが、回答はなかった。