2024年のAmazonプライムデー、過去最高売上高を記録する見通し。物価高や中国勢の影響は?
Amazonの攻勢とTikTokの急成長
Amazonは今年のプライムデーに向けて、さまざまなソーシャルメディアインフルエンサーの力を借りて、一部のお買い得商品をいち早く手に入れられるようにするなどのプロモーションを展開している。さらには、ラッパーのミーガン・ジー・スタリオンに、プライムデーのための楽曲制作を依頼した。これは、AmazonがTikTok(TikTokは昨年、自社のeコマースプラットフォームを米国デビューさせている)を活用して、プライムデーの売上を伸ばそうとしていることを示す、ひとつの証しだ。とりわけいまは、検索エンジンとしてTikTokアプリを使うZ世代が増えている。 ミーガン・ジー・スタリオンを起用したAmazonプライムデーのプロモーション動画 「消費者、そして彼らのショッピングリストにとって、TikTokはますます大きな要因になりつつある」とデュランド氏は言う。「TikTokでトレンドになっていて、消費者のウィッシュリストの対象になり得るものなら、どんなものでも大ヒットするチャンスがある。オンラインショッピングという体験にそれが占める一角は、今後さらに重要度を増していくはずだ」。 それはまた、競争激化の一途をたどるeコマース市場におけるシェアを、Amazonが守ろうとしているということも示唆している。そして、その対抗勢力の筆頭が、TikTokショップなどの新興サービスだ。コアサイト・リサーチ(Coresight Research)の小売アナリスト、ジョン・マーサー氏は、「eコマース、とりわけ価格をめぐっては激しい競争が繰り広げられている。それを踏まえると、これは世間の関心を取り戻すための取り組みといっていいだろう」と語る。 プライムデーの売れ筋といえば電化製品と相場が決まっているが、今年は美容やパーソナルケアに関連する商品も売上の大きな一角を占めるのではないかと、デュランド氏はにらむ。Amazonはここ数カ月、ビューティブランド、とりわけ高級ブランドのラインアップの強化に取り組んでいる。同社は、今年のプライムデーの日程を発表するプレスリリースのなかでも、エスティ・ローダー(Estée Lauder)のクリニーク(Clinique)やキールズ(Kiehl’s)など、トップビューティブランドの名前をいくつか挙げている。両ブランドはそれぞれ、3月と5月にAmazonのマーケットプレイスに加わった。