最近の「ハローキティ」に覚えた違和感…口が描かれていないのに「よくしゃべる」のはなぜなのか
1974年11月1日に生まれ、2024年に50歳となった国民的キャラクター・ハローキティ。彼女が50年ものあいだ、いまでは国境も越えて、愛されつづけるのはなぜなのか。“サンリオとともに生きてきた”長年のハローキティファンでライターの中沢明子さんがキティちゃんの特別さと現在地に迫ります。 【写真】転売ヤーが殺到し「異様な雰囲気」に包まれた「ハローキティ展」初日 #1【「みんななかよく」50歳になったハローキティが伝え続ける、現会長の「戦争反対」への強い思い】 #2【初日は転売ヤー殺到で「異様な雰囲気」に…「ハローキティ展」の展示内容に覚えた「物足りなさ」の正体】 を読む。 (写真はすべて著者撮影)
ハローキティの「設定」の曖昧さ
猫なのか、そうでないのか。口が描かれていないのに、なぜ最近はよくしゃべっているのか。 誰もが知っているハローキティの素性や背景を、きちんと把握している人はコアなファン以外、いないだろう。だが私は、ハローキティの「設定」の曖昧さこそ、変幻自在、八面六臂で活躍できる理由ではないか、と思う。 「ハローキティは猫なのか、そうでないのか」問題については、結論から言うと正解が揺れている。サンリオの公式見解としては「猫をモチーフとしたキャラクター」で「明るくて、優しい女のコ」。実際、ハローキティは二足歩行である。しかし、『マイ・ラブ キティ40周年記念版』(飛鳥新社/2014)の冒頭に「一枚のスケッチから生まれた真っ白なこねこ。名前はハローキティ!」と書いてあった。猫なのか、猫でないのか、どっちなんだい! と思うが、そこは曖昧にしておいてね、ということだろうか。
サンリオとともに生きてきた世代
ハローキティを生んだサンリオは1960年に山梨シルクセンターとして設立され、1973年に株式会社サンリオと商号変更。ネーミングの由来はスペイン語のSan Rio=聖なる河から来ている。創業者の辻信太郎会長は「『人類が最初に住み始めたと言われる河のほとりに聖らかな文化を築きたい』という気持ちでこの会社を設立し、『其処に集まる人々がお互いに思いやりを持ち、仲良く暮らせるコミュニティ(集団)を作りたい。』という願い」を社名に込めたと公式サイトで記している。 個人的な話で恐縮だが、現在55歳の私はサンリオとともに生きてきた、といっても過言ではない。子どもの頃、習い事のために通っていたビルにサンリオショップがあり、帰りに立ち寄っては、そのファンシーで夢のような世界観に(買わなくても)ワクワクした。大切に使っていた習い事用のバッグはリトルツインスターズ(キキララとも呼ばれる)のキルティングバッグ。ハローキティも好きだったが、パティ&ジミー(ハローキティと同い年だ)も大好きだったし、タキシードサムもお気に入りだった。 ハローキティはかつての私にとって、数あるサンリオキャラクターのワンオブゼムで、「かわいい猫」のキャラクターという認識だった。特別な意味を見出す存在として意識するようになったのは、大人になってからである。ある日、唐突に疑問に思ったのだ。「キティに口が描かれていないのはなぜなのか」と。
【関連記事】
- 【もっと読む】「みんななかよく」50歳になったハローキティが伝え続ける、現会長の「戦争反対」への強い思い
- 【もっと読む】初日は転売ヤー殺到で「異様な雰囲気」に…「ハローキティ展」の展示内容に覚えた「物足りなさ」の正体
- “7期連続減収減益”だった「サンリオ」がまさかの大復活…!ディズニーランドを運営する最強「オリエンタルランド」を圧倒的に凌ぐ「意外な数字」
- “5700万票”が集まる「サンリオキャラクター大賞」の衝撃…!「キティちゃん」の順位が“下がる”とサンリオが儲かる「驚きのカラクリ」
- サンリオ人気キャラ「シナモン」のもう一つの顔がYouTubeで話題に…大人がハマる“ご自愛シナモン”が教えてくれること