最近の「ハローキティ」に覚えた違和感…口が描かれていないのに「よくしゃべる」のはなぜなのか
キティに口が描かれていない理由
今ではよく知られているが、口が描かれていない理由は「見る人が悲しいときは一緒に悲しみ、嬉しいときには一緒に喜ぶように見えるから」である。あえての無表情が決して冷たい印象にならないのは、ハローキティの瞳がまっすぐに見る者に向けられているからだろう。それは「あなたを見守っているよ」というメッセージであり、辻会長の「やさしさや思いやりは口(言葉)で言うだけではなく、態度で示しましょう!」(『いちご新聞』2018年600号)という思いを「体現」している。 このハローキティの「設定」を知ったとき、衝撃を受けた。確かに、悲しいときは「よしよし」と頭を撫でてくれるような気がするし、楽しいときは「よかったね!」と一緒に喜んでくれているように見える。いつでもこちらサイドの都合に合わせて寄り添うキャラクターであることに魅了され、私にとって特別なキャラクターとなった。
最近のキティは「よくしゃべる」
ところが、最近のハローキティはよくしゃべる。テレビやイベントなど、いろいろな場所で(人間っぽい等身の)ハローキティが登場し、おしゃべりする機会が増えている。個人的には「身長はリンゴ5個分」という設定とかけ離れた見た目の着ぐるみ……いや、ハローキティに納得いっていないが、それよりも「よくしゃべる」ことが気になっている。 ハローキティはYouTubeチャンネルも持っており、2024年12月現在、登録者数は約38万人だ。世界的なキャラクターのわりに少ないが、その理由のひとつは、このチャンネルが基本的にSDGsのメッセージを広く伝えることに重きを置いているからだと私は考えている。 ハローキティは国連との協働でSDGsをグローバルに推進する活動を展開する公式キャラクターとなっており、チャンネル内容も啓蒙性が高い。啓蒙性が高いこと自体は全く悪くないどころか、むしろポジティブなポイントだ。とはいえ、コアなハローキティファン以外、更新されるたびに視聴するとは、あまり思えないのだ。 見る者に寄り添うハローキティがSDGsのキャラクターに任命されるのは確かに適任だが、黙ってそっと寄り添ってくれる(はずの)ハローキティに饒舌に語り掛けられると違和感がある。おそらくハローキティが当初の想定を遥かに超えた、グローバルなスーパースターに成長したために、さまざまなメッセージを伝える「媒介」として「よくしゃべる」ようになったのだろう。
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