6月の日銀短観 注目すべきポイントは?
次に経済産業省が公表する第3次産業活動指数に目を向けると、ここでは企業向けサービスと個人向けサービスの乖離が目立ちます。4月時点の数値を確認すると、広義対事業所向けはコロナパンデミック発生前の2020年1月水準を1.0%上回る水準へと回復する一方、広義対個人向けは「し好的」サービスの弱さを主因に2020年1月比▲6.3%と停滞した状態にあります。旅行、外食、レジャーなどが含まれる「し好的」サービスは同▲14.6%と大幅に落ち込んだ状態にあり、サービス業の弱さがこれらセクターに集中していることが浮き彫りとなっています。これらに関連して消費される財需要も同時に落ち込んだとみられ、このことは国内向け財出荷の弱さを同時に説明しています。 個人消費の弱さが続けば、輸出主導で業況判断DIが改善する構図は限界を迎えるでしょう。先行きはワクチン接種の進展によって、個人消費はサービス業を中心に回復が期待されますが、賃金が伸び悩むなど所得環境が悪いこともあり、改善ペースが期待外れとなる可能性もあります。そうした内需の弱さが、現在業績が好調な製造業をむしばむ展開に注意したいところです。
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