大阪・新世界の観光現状は? 通天閣社長「綱渡りの経営」人力車俥夫「耐えしのぐしかない」【#コロナとどう暮らす】
通天閣・営業再開後の入場者数は
その大きなメッセージを掲げている「通天閣」は現在どのような状況なのだろうか。通天閣観光の高井隆光社長は「なかなか夜は明けません」と苦笑を浮かべる。5月末からの営業再開後の通天閣の入場者は、6月が前年比20%、7月が15%、8月は10%という結果だった。 9月に入っても入場者数は平日で平均200人、土・日で約500人ペースとなっており「このままだと8月同様で前年比10%ペースですね」と高井社長は話す。
2007年から年間100万人以上の来場者をキープしていた
通天閣は、2007年度から長きにわたり年間100万人以上の来場者をキープしており、近年、絶好調とされてきた大阪のインバウンドをけん引してきた存在でもある。 高井社長は今年4月の休業決定時に「今年初めまで近年はどれだけ暇な時でも一日3千人は入場者がありました。今年は、新型コロナウイルスの影響を従業員と肌身で感じて共有しています」と語っていた。
入場者少なく営業時間調整、来月からGoToに一筋の希望
インバウンドの入場者は、ほぼゼロの状態。高井社長は「入場者が少ないため、収入も比例して苦境なので、通常営業時間を前後1時間半ずつ、計3時間短縮して運営経費を削減してます。毎日多くても9人まででミニマム運営しており、政府の雇用調整助成金も申請しておりますが毎月『綱渡り経営』です」と胸中を語った。 そんな苦しい中、通天閣は8月31日まで大阪モデルの状況を表すライトアップ転倒に24時間無償で協力。取引をしている土産物菓子業者が「各地で菓子が売れ残り処分にも困っている」と聞くと、そのお菓子を入場料のいらない通天閣のフリースペースで半額で販売する営業も行うなど、コロナ不況に一石を投じる救済策は話題も呼ぶなど注目を集めていたが、このように大変な思いをしながら営業を続けているのが実情だ。 しかし、今月8日、赤羽一嘉国土交通相は会見で、政府の観光支援事業「GoToトラベル」の地域共通クーポンを10月1日から始めると発表した。 クーポンは飲食店や土産物店、観光施設、交通機関などで利用でき、7月から始まっている旅行代金の35%引きと合わせて、補助率が50%に拡大するというものだが、このニュースについて「これまでGoToの恩恵はまだ感じたことがありませんが、一筋の希望を持っている」とも話す。
づぼらや閉店に「他人事では無く身の引き締まる思い」
高井社長は、新世界で月日が進むにつれて空き店舗が増える状況をみて「活気がほしいなあと思っていたところで、先のづぼらやの巨大ふぐ看板撤去のニュースはショックだった」と話す。 「時代の変化やお客様のニーズに対応しないと、明日は我が身であり、他人事では無く身の引き締まる思いでいっぱいです」と話す高井社長。 しかし、いまは「明けない夜はない」という言葉を信じ「引き続き、通天閣を大阪の希望の光として照らし続けていきます」と力強く話していた。