なんと、重さの単位は「グラム」ではなかった…!弱く孤独な重力の「不思議な特徴」を解き明かす
物理学の最前線で探究されていること
『重力のからくり』では、一般相対性理論の本質を予備知識のない人でも理解できるよう噛み砕いて説明しながら、電磁力など他の力とは大いに異なる重力の不思議な特徴について紹介していきます。 「質量」と「重さ」の違いを考えることから始まる旅が、やがて物理学の最前線で探究されている重要な課題にまで私たちを連れて行ってくれますので、どうぞお楽しみに。 『重力のからくり』は、これまでの「からくりシリーズ」と同様に、物理学の詳しい知識をもたない人を前提に書かれています。初めて物理学ジャンルの本を読む人でも無理なく読み進むことができる一方、物理学に親しんでいる読者にも、新しい発見や理解が得られるよう工夫して書いてあります。 以下に、『重力のからくり』の構成をご説明します。 第1章ではまず、「質量と重さの違いとは?」「力とは?」といった素朴な疑問について考えながら、重力を理解するための準備運動をおこないます。 続く第2章は、万有引力がどうはたらくのかを確認しながら、ニュートンの考えた重力について紹介します。 第3章では、質量保存の法則と不確定性原理が引き起こす、常識はずれの現象を体感していただきます。宇宙の深淵(しんえん)を覗(のぞ)いた気分になれますよ。 第4章は趣向を変えて、万有引力ならぬ“万有斥力(せきりょく)”について見ていきます。インフレーションや宇宙の加速膨張など、あたかも重力に抗(あらが)うような現象を引き起こす謎めいたエネルギーが存在している……!? 第5章には、私たちがふだん接している「ふつうの物質」とは、その成り立ちも性質もまったく異なる「正体不明の質量」が登場します。「ダークマター」とよばれるこの謎の質量が、宇宙の形成に果たした大きな役割とは? 最終第6章は、本書のハイライトです。「きわめて弱い力」である重力がなぜ、宇宙を支配する強大な力になりえたのかーーその秘密を解き明かし、物理学を支える二大理論、すなわち一般相対性理論と量子論がなぜ相容れないのか、その謎解きに挑みます。現代物理学の最先端で活躍する物理学者たちがいったい何を目指しているのか、その取り組みもご紹介します。 重力とは果たして何者なのか?ーーさあ、ご一緒にそのからくりを探索してみることにいたしましょう。 重力のからくり――相対論と量子論はなぜ「相容れない」のか 自然界を支配する4つの力の中で、最も身近で最弱の力。 この宇宙に現在の構造をもたらした最大の貢献者でありながら、なぜか「標準模型」に含まれない異端児=「重力」。 素朴な問いから「物理学最大の難問」まで一気読みさせる好著!
山田 克哉