なんと、重さの単位は「グラム」ではなかった…!弱く孤独な重力の「不思議な特徴」を解き明かす
重力がもつ「2つの特徴」
また、先ほど紹介した万有引力の法則には「質量」という言葉が登場していました。では、「質量」と「重さ」の違いとは? このたび刊行した「からくりシリーズ」の最新作『重力のからくり』では、このような素朴な問いかけからスタートして、一歩一歩ステップを刻みながら、「重力のからくり」を解き明かしていきます。 その重力には、じつに不思議な2つの特徴があります。 弱すぎるといっても過言ではないほど「きわめて弱い力」であること他の重要な物理法則とは相容(あいい)れない「孤独な力」であること どういうことでしょうか?
「孤独な力」の生みの親は?
広大なこの宇宙には、無数の星々や銀河、銀河団などが存在しています。 それら巨大な構造物はもちろんのこと、地球や、そこで暮らす私たち生命まで、あらゆる物体はすべて、「万物を互いに引きつけ合う」重力の作用によって誕生しました。もし重力が存在していなかったなら、これらいっさいの事物は存在しえなかったのです。 しかし、その重力はなんと、たとえば電磁力(電気力と磁力)のわずか10の38乗分の1の強さしかありません。この宇宙を作り上げた力といっても大げさではない重力が「きわめて弱い力」であるとは、いったいどういうことなのでしょうか。 そして、重力を「孤独な力」へと変貌させたのは、誰あろう、アルバート・アインシュタインその人です。 ニュートンによる万有引力の発見からおよそ250年後、アインシュタインが一般相対性理論を提唱したことで、重力への理解が格段に深まることになりました。否(いな)、重力のとらえ方そのものに革命を起こした、というべきでしょう。一般相対性理論は、それほどインパクトのある、画期的な重力理論だったのです。 一方で、量子論(量子力学)や、素粒子物理学の標準模型といった、相対論に勝るとも劣らない他の重要な物理学の成果とは、どうしても統一的に理解できない“ある事情”を抱えているというのですが……?