独身女子、老後の家をどうするか。会社の転勤で京都に出会う。東京と京都の2拠点生活、定年後は京都へ「Iターン」か
◆体が動くうちは自宅で過ごしたい ところで、親御さんのケアは大丈夫なのでしょうか。志帆さんの母は3年前に他界しましたが、父(94)は健在です。首都圏にある実家に、いまも一人暮らしをしています。 父は、要介護認定にもならないほど元気。志帆さんが仕事をしているのが好きで、いつも応援してくれます。近くに住んでほしいと言われたことはありません。志帆さんも「父のそばにいなくちゃ、とは思わない。私、冷たいから」と、冗談めかして言います。 京都には、永住するつもりなのでしょうか。これから買う家が、人生を終える「終の住処」になるんですか? 「うーん」と、志帆さんは考え込みます。「それは、京都でどんなところに住むかによると思う」と言います。中心街から離れた郊外の、土のあるところに住みたい。でも、周囲に人がいない立地だと、年を取ってから一人で家を維持できそうにありません。そこを終の住処にするのは難しいでしょう。 実際に、10年後にどのくらい老いているのか、自分の「老後」がイメージできません。全然元気なら、一軒家でも住み続けられるかもしれません。健康状態次第なので、「どこで死ぬかのイメージは持てません」と言います。 じゃあ、将来、どこかの時点で家を売却して、老人ホームに入りますか? 「施設は考えません」と、志帆さんは即答しました。老人施設の食事はお仕着せだからです。 「私が、自分の中で一番譲れないことは、自分で買い物をして、自分で作って食べること。好きなものを買ってきて、好きなご飯を自分で作って食べる生活。私は、そこに人権を感じるんです。それが叶うから京都は楽しい」 キッチン付きのサ高住もありますが、大抵の高齢者向け住宅は「食事の支度をしなくていい」が謳い文句。志帆さんのように、「好きなものを好きなように作って食べたい」人には不要なサービスです。体が動くうちは自宅で過ごしたい、寝たきりにならない限り高齢者施設には入りたくない、なるべく入所は遅らせたい、と志帆さんは言います。
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