独身女子、老後の家をどうするか。会社の転勤で京都に出会う。東京と京都の2拠点生活、定年後は京都へ「Iターン」か
◆一生賃貸族のつもりでした 今春、志帆さんは再び転勤になり、東京の本社勤務に戻りました。異動時、志帆さんは上司に断って、京都との二拠点生活を始めました。東京の賃貸マンションは、本社までドアツードア30分程度で通勤できる1Kの部屋です。最低限の荷物だけで引っ越しました。家賃は12万円。法人契約で、会社から家賃補助も出ます。 代わりに、京都の鴨川沿いの部屋は、法人契約から個人契約に切り替え、個人で敷金を入れ直しました。東京と同程度の家賃が全額自己負担なのは「痛い」ですが、借り続けています。 志帆さんは、いまは月に2回ほど京都に行っています。1回あたり2泊から1週間ほどで、トータルで月の3分の1ほどは京都で暮らしています。仕事での付き合いや取引先を京都に多く残していて、東京に戻った後も京都には通う予定でした。 いっぽうで、コロナを機に働き方が変わり、多くの社員がリモートワークと出社のハイブリッドで働いています。勤務地イコール住所地でなくてもいいのです。「どこにいるかを教えてくれたら大丈夫」と、直属の上司の許可も得ています。 仕事の資料も京都の書斎に置いたままですから、籠もって調べ物をしたり、書き物をしたりする仕事は、京都でしています。 二重生活の経済的な負担も、志帆さんの「京都で家を買う」計画を後押ししているでしょう。長く一人暮らしをしていますが、転勤も多く、家を買うなんて、一度も考えたことがありませんでした。一生、賃貸族のつもりでしたが、今、生まれて初めて、家を買おうと考えています。 会社の定年は65歳に引き上げられましたが、60歳になると早期退職が選べます。志帆さんはあと1年で早期退職の権利が得られます。まだ、何歳で辞めるかは具体的に決めていませんが、最短だとあと1年。最長でもあと6年で退職です。それまでに、京都に通いながら、買う家を見つけたいと思っています。
◆「京都内2拠点居住」も視野に 京都のどこに、どんな自宅を買うかは、まだ定まっていません。京都の中心部の町家のような家にするか、田舎の畑付きの一戸建てか、はたまた街中のマンションか。 街中のマンションに住んで、田舎の土のあるところに小さい家を借りる、という「京都内で二拠点居住」も視野に入れていると言います。畑をしたいので、農家に離れの部屋だけ借りるとか、選択肢はいろいろありそう、と言います。「京都では、生活することが面白い」 「郊外でも、一戸建てを買うなら、1階はオープンスペースにしたい。仕事場の書斎と、キッチンを置いて、人が集まったり、なにかイベントをしたりできるような空間にしたい。子どもがいないから、人の役に立つことがしたいと思って」 定年退職して京都へ移住した後も、フリーランスとして働き続けるつもりです。これまでの仕事の延長線上で専門性を生かせれば一番いい、と志帆さん。 他にも、地域社会にも貢献したいし、自分のスキルを生かした社会貢献もできるのでは、とも考えています。それらは東京じゃなくてもできるでしょう。「アウトプットをしない人生は、私はダメだと思う。消費するだけじゃ、生きていかれないだろうから、きっと何かはすると思う」 でも移住の前に、まず、いくらの家が買えるのか、老後までの資金計画を立てて、購入予算を精査しないとと、志帆さんは言います。 「おそらく5000~6000万円の家なら買えると思うんだけど。年金がいくらもらえるのか、退職金がいくらか、いくらまで家にかけていいのか、ちゃんとプロに聞かないと」。ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談しようと思っています。 老後の蓄えはどうでしょう。仕事も忙しく、志帆さんは資産運用も投資もしたことがありません。個人年金も入っていないし、iDeCoもNISAもしていません。ただ、堅実に、銀行預金と、貯金、会社の持ち株、財形年金はやっていて、結構な額が貯まっています。NISAも始めようと思います。
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