新型コロナ禍・悲鳴続く関西経済 インバウンド需要なくどうなる?
採用戦略研究所「インバウンドバブルは完全に崩れた」
関西を拠点に全国の採用支援を手がける「採用戦略研究所」(本社:大阪市)の郷戸理永社長は、今回のコロナ・ショックについてこう話す。 「関西経済はこれまでインバウンドやサービス業の下支えがあった。インバウンド関連の企業は過去4~5年バブルだったのですが、それが完全に崩れた。リーマン・ショックの時は金融危機を契機に徐々に影響を及ぼしていきましたが、コロナ・ショックは倒産に至るまで短期で、一気に業績が悪化し、スピードが比べ物にならないほど速いのです」 「今、飲食店などサービス向け人材募集はゼロ。ただ、それでも物流やデリバリーチェーンなどは採用を増やしています」
クラウドファンディングを利用するケース急増
そんな中、経営困難に陥った事業者が資金調達手段としてクラウドファンディングを利用するケースが急増中だ。クラウドファンディング「CAMPFIRE」では、5月の流通額が38.9億円(前月対比180%・前年同月比590%)で、支援者数は39万人となり、先月に続き過去最高額を更新したという。 関西でも飲食店、ライブハウスや劇団など利用者は枚挙にいとまがないが、大阪・京橋にある老舗のライブレストラン『BERONICA』も、そんなひとつ。目標金額500万円だ。定期的に出演していたアーティストは「ベロニカさんが存続の危機にあると知って、支援者の1人になりました。完全復活に向けて応援したいです」と話す。今や新しい資金調達としてクラウドファンディングの認知は大幅に広がっている。
「3密」避け席数を減らして営業する飲食店多く、かつてのにぎわいなし
休業要請が解かれ繁華街の飲食店の客足は戻りつつあるが、それでも、元に戻るまでは時間がかかりそうだ。 ロイヤルホールディングスはファミリーレストラン『ロイヤルホスト』など約70店舗を閉店すると発表した。居酒屋チェーン大手の『ワタミ』も、国内店舗の1割にあたる65店を閉店するという。 「3密」を避けるため、席数を減らして営業する飲食店も多く、かつての賑わいはない。訪日観光客で賑わっていたミナミの道頓堀を歩いてみたが、人通りは増えたとはいえ、以前の姿とはほど遠い。