新型コロナ禍・悲鳴続く関西経済 インバウンド需要なくどうなる?
ホテル「料理のテイクアウトや新商品のオンライン販売などで対処」
また、ホテルや旅館の倒産も相次いだ。今年2月に破産した「冨士見荘」(愛知県)を皮切りに、「京都セントラルイン」(京都市)などすでに30数件。現在も「売り上げが前年の7割減」や「結婚式場などの宴会部門もキャンセル続出」など、漏れ伝わる内容はかなり深刻だ。 大阪・十三にある「HOTEL PLAZA OSAKA」(大阪市淀川区)を運営する(株)プラザオーサカの菅原真太郎取締役は、苦しい胸のうちを明かす。 「弊社の場合、昨年対比で90%落ち込んでます。これまで宿泊客の4割をインバウンドが占めてましたし、スポーツ団体のお客様などもキャンセルが続出。当ホテルでは今、最寄りの『十三市民病院』が新型コロナウイルス感染症患者の治療・回復のための専門病院に指定されているため、一般客に加えて医療従事者を受け入れてます」 さらに今後の対策についてこう打ち明ける。 「緊急事態宣言が解除されてからは、レストランに関しては少しずつお客様が戻ってきました。元通りになるには1年から1年半かかるでしょう。それまでレストランや宴会などで売り上げを伸ばし、料理のテイクアウトや新商品のオンライン販売なども手がけて対処していきたいと思っています」
人材派遣業も大打撃
新型コロナウイルスが職を奪い、人材派遣業も大打撃を受けている。 派遣業大手の会社員の話。「当社は正社員と自社採用の派遣スタッフを併せて約3000人が働いています。派遣登録はざっと1万人ほどですが、5月だけで700人くらいが契約満了になり、合法的な派遣切りです。派遣業界は今年いっぱい厳しいでしょう」 派遣社員は1か月から3か月ごとの契約が多いため、今後はさらに解雇、雇い止めの増加が懸念される。 「当社では新しいビジネス戦略として『人材紹介』にシフトし、派遣ではなくスタッフの『売り切り』を始めました。例えば、介護業界は売り手のニーズが充分にありますし、資格を持つキャリア採用が多い。だから売り切りで人材紹介をしています」(同社員) リーマン・ショックではまず派遣社員が切られ、その後は正社員の解雇が始まったが、正社員解雇が年末12月に本格化するのではないかという専門家の予測もある。