斎藤兵庫県知事がリベンジ再選!で見えた3つの「地獄」。私たちはSNSから何を得て、どう判断すればよいのか
当初の予想をひっくり返し、斎藤元彦氏がまさかの再選を果たした兵庫県知事選。県議サイドは「投げた手りゅう弾を投げ返された」みたいなもんですから「ちょ!これ戻ってきちゃったよ!どうするの!」の阿鼻叫喚でしょう。 この記事の他の画像を見る また先週末には、身内のうっかり暴露から「斎藤陣営が公職選挙法に違反する選挙活動をしていたのでは」という疑惑が発覚。関係者全員、未だ予断を許さない状況です。いつまでも落ち着かない今回の知事選ですが、私たちは開票後に「3つの地獄」を目の当たりにしました。 1、年配女性の街頭インタビュー:「YouTubeで真実を見つけた。斎藤さんを誤解していた。謝りたい。これからはマスコミではなく、ネットでバランスよく情報を集めたい」 2、ある報道番組:「SNSのデマで選挙結果が歪んだ。中立なマスコミ報道をもっと見るべき。ネットの規制も必要では」 3、あるタレント:「兵庫県民はアホ、民主主義は死んだ」 あ……「3」はいつもの地獄でしたね。望んだ結果となれば「民主主義の勝利」、負ければ「民主主義は死んだ」。お馴染みのダブルスタンダードです。問題は「1」と「2」ですよ。 「1」は選挙後の報道で流れた映像でしたが、メディアが報じていない情報を手に入れた瞬間、人はその高揚感から「コレを信じたい」という感情が跳ね上がります。「ネットで見つけた真実」は陰謀論にハマった人が必ず口にする言葉ですので、ご注意を。 そもそもSNSは「バランスよく情報を集める」ことが難しいツールです。その人が欲しがりそうなモノを理解し、そればかり集めて見せてくれる。そんな誘惑に人間の認知バイアス(信じたいものを信じる)が勝てるはずもなく……偏った情報の海に溺れ、戻れなくなるでしょう。 今回の選挙でも、根拠のない情報、フェイクニュースが大量に飛び交いましたが、投票後に訂正されたところでどうにもなりません。「誰も知らない本当の真実」がネットでお手軽に手に入るわけない、と身構えるくらいが適切なのです。 もし「信じたい」と感じる情報を見つけたら、この情報でだれが得をするか、誰が損をするかを想像し、数日は判断を保留。その情報への反論、反証がされないか待つ。あえて否定意見も探してみる。これくらいの手間をかける必要があります。実行するのは相当難しいんですが、でもこれしかない。 「2」のマスメディア報道の中立性については、選挙期間中に特定の候補者を取り上げないとか、時間配分を均等にする、あたりを指しているのだと思いますが、では告示前はどうだったか。百条委員会の話にしても、何ら判断されていない状況で、かなり断定的な伝え方をしていたメディアが殆どでした。