菅義偉新首相が就任会見(全文1)来年前半までに全国民分のワクチン確保目指す
ポストコロナ社会に向けて集中的に改革
バブル崩壊後、最高の経済状態であったのですけれども、ところが、まさにこの新型コロナウイルスが発生しました。まずはこの危機を乗り越えた上で、ポストコロナの社会の構築に向けて、集中的に改革をし、そして必要な投資を行い、再び強い経済を取り戻したい、このように考えます。 とりわけ、新型コロナウイルスで浮き彫りになったのは、デジタルおよびサプライチェーンの見直し、こうしたことであると思います。また、ようやく解禁されたオンライン診療は、今後も続けていく必要があります。ポストコロナ時代の子供たちの教育のために、GIGAスクールも強力に進めてまいります。行政のデジタル化の鍵はマイナンバーカードです。役所に行かなくてもあらゆる手続きができる、そうした社会を実現するためにはマイナンバーカードが不可欠です。しかし、その普及が進んでいませんでした。今後できることから、前倒しで阻止するとともに、複数の省庁に分かれている関連政策を取りまとめて、強力に進める体制として、デジタル庁を新設いたします。 また、ポストコロナ時代にあっても、引き続き環境対策、脱炭素社会の実現、エネルギーの安定供給もしっかり取り組んでまいります。秋田の農家の長男に生まれた私の中には、一貫して地方を大切にしたい、日本の全ての地方を元気にしたい、こうした気持ちが脈々と流れております。私はこの気持ちを原点として、知恵を絞り、政策を行ってきました。
全世代型社会保障制度を構築したい
第1次安倍政権で総務大臣に就任した際に、かねてから自分の中で温めていたふるさと納税、官僚の大反対の中でありましたけれども、押し切って立ち上げました。それは、地方から東京に来た人たちは、自分を育ててくれたふるさと、なんらかの形で貢献したい、なんらかの形で絆を持ち続けていたい、そう思っているに違いない、そうした私の考え方からふるさと納税というのを発案をして、そして実現に移したわけであります。あれだけ反対がありましたけれども、今多くの国民の皆さんにご利用をいただいております。官房長官として地方の活性化、取り組んできましたけれども、何よりうれしかったのは昨年、26年間も地方の地価って、皆さん、下がりっぱなしだったんです。もう二度と上昇しないといわれていた地価が27年ぶりに上昇に転じたことであります。 これは、地方創生の切り札である外国人観光客、いわゆるインバウンドが効果を見ました。政権発足当時、836万人でしたが、昨年は3200万でした。外国人観光客が地方にも足を運び、消費が全体で1兆円だったのが、約5兆円まで伸びました。農業も、農林水産品の輸出も、4500億円から昨年は9000億円まで伸びたんです。今後とも、こうしたことを中心に、地方を活性化するような政策をしっかり取り組んでいきたい、このように思っています。 わが国の未来を担うというのは、子供たちであります。少子化対策はわが国長年の課題であります。これまで幼稚園、保育園、大学、専門学校の無償化や、男性の国家公務員による最低1カ月の育休取得も進めてきました。若い人たちが将来も安心できる全世代型社会保障制度を構築してまいりたいと思います。 待機児童の問題については、経済成長の果実を生かして、72万分の保育の受け皿の整備を進め、昨年の待機児童数というのは調査開始以来、最小の1万2000人でありました。今後、保育サービスを拡充し、この問題に終止符を打っていきたい、こう思います。さらに出産を希望する世帯を広く支援し、ハードルを少しでも下げていくために、不妊治療への保険適用を実現します。安心して子供を生み育てることができる社会、女性が健康に活躍することのできる社会、そうした環境をしっかりと整備をしていきたいと思います。 また、外交および安全保障の分野については、わが国を取り巻く環境がいっそう厳しくなる中、機能する日米同盟を基軸とした政策を展開していく考えです。国益を守り抜く、そのために自由で開かれたインド太平洋を戦略的に推進するとともに、中国、ロシアを含む近隣諸国との安定的な関係を築いていきたい、このように思います。