ドーム初G倒に矢野監督は「まだ一矢報いただけ」…ゲーム差「10.5」を追う阪神は残り45試合をどう戦うべきか?
その1、2戦の連敗時の悔しさをもう一度聞かれた矢野監督は、少しだけ表情を緩めた。 「もちろん、ここで勝っていないということはわかっていましたし、悔しい思いをしている。十分に思いを込めた中で、やられたので凄く悔しかったです」 そして「一矢報いましたね」という問いかけに前出の言葉をひねり出した。 「そうですね。まだ一矢報いただけなんでね。次にジャイアンツと戦う時まで、挑戦できる形を作っていきたい」 今、阪神に突き付けられているのは、巨人にマジックが点灯した状況で、残り45試合をどう戦うか、という問題である。クライマックスシリーズのない今季は2位も最下位も同じなのだ。 それでも2位を狙うのか。来季を見据えた戦いに切り替えていくのか。その中で、矢野監督は、この日のインタビューで、ひとつの答えを示した。 次の巨人戦。つまり10月2、3、4、5日に甲子園で行われる対巨人4連戦までは、奇跡の逆転を狙って、1戦、1戦、“明日無き戦い“を仕掛けるという姿勢だ。 阪神は、その巨人戦まで今日18日の中日戦(ナゴヤドーム)から12試合がある。内訳をみると中日が6試合、横浜DeNA、ヤクルトがそれぞれ3試合。中日には、8勝4敗と相性がよく、横浜DeNAに7勝6敗2分け、ヤクルトに8勝7敗と僅差で勝ち越している。ただ、すべてのカードを勝ち越して8勝4敗。 巨人も、その間、今日18日の横浜DeNAとの3連戦から12試合があるが、6勝6敗の勝率5割のペースでいかれると2ゲームしか縮まらない。「8.5」差で巨人戦を迎え、4連勝をしても「4.5」差である。 矢野監督が「挑戦する形」を具体的にどう描いているのかはわからないが、巨人戦に4連勝して、せめて1ゲームから1.5ゲーム差になる状況にしておかねば、プレッシャーにもならず、奇跡にはつながらない。
つまり5ゲームから5.5ゲームで巨人戦を迎えることだ。それには大型連勝が必須。加えてその間に巨人と対戦する横浜DeNA(3試合)、広島(6試合)、中日(3試合)の奮起に期待するしか残された可能性はないだろう。ちなみに巨人は今季、横浜DeNAには9勝3敗、広島に6勝5敗1分、中日に9勝7敗2分けの対戦成績だ。 阪神は、その10月2日からの巨人4連戦を終えると残り試合は29試合となる。来季を見据えた戦いに切り替えるタイミングとしては悪くない。ファームで力をつけているドラフト1位の西や2位の井上らにチャンスを与えてもいいだろう。そう考えると、残り12試合が今季の阪神に残された最後の勝負である。 この日、7-0で迎えた9回一死二、三塁で打席に立った西は、三塁ゴを打って一塁へ全力でスタートを切った。結果的に、田中俊のエラーを誘い、8点目が入り、さらにチャンスが広がった。 「三振してもいい場面ですが、野球っていうのは、何が起こるかわからない。必死のプレーを子供たちも見てくれると思うので。最後まで全力疾走。がんばっていきたいと思います」 西は、試合後、そう言って胸を張った。 マジック点灯の巨人とのゲーム差は絶望的ではある。だが、西が言うように「何が起こるかわからない」のが野球でもある。奇跡の逆襲のキーマンである梅野が途中交代、戦線離脱の可能性があるなどのマイナス要素はあるが、この姿勢を続けることこそが、巨人への再挑戦の資格を得るための条件となるのかもしれない。