ドーム初G倒に矢野監督は「まだ一矢報いただけ」…ゲーム差「10.5」を追う阪神は残り45試合をどう戦うべきか?
サンズのセンター前タイムリーを処理した丸が、中継の吉川尚に、“いい加減な返球“をして、それがワンバウンドになり、吉川尚がボールを弾くのを見て、一塁走者の糸原は、一気にホームに生還した。ここまでの阪神ー巨人の戦いを裏返しにしたような相手のスキを突く好プレーだった。 序盤の大量5点をバックにエースの西が巨人打線に内野ゴロの山を築かせていく。 「序盤から点数を入れてくれたので楽に投げることができました」 3回に田中俊、4回に吉川尚と、先頭打者にヒットを許したが、いわゆる「ゴロゾーン」と呼ばれる内角低め、外角低めの2隅にボールを動かしてピンチを広げない。11日の広島戦で完封勝利した後の今季2度目の中5日登板。矢野監督が「たぶん状態はよくなかったと思う」と見たようにボールのキレや体の動きはベストではなかったが、フォームに強弱をつけながら、コンピューターゲームのように16分割されたストライクゾーンの端っこにボールを思うように置いていかれれば巨人の1軍半のメンバーに攻略は不可能だった。 「状態に左右されず、丁寧に投げる西の引き出しの多さ技術が出た」と矢野監督が絶賛した円熟のピッチングで、二塁を踏ませず、わずか4安打の2試合連続の完封勝利。しかも、いずれも無四球である。連続完封は阪神では2014年のメッセンジャー以来で日本人投手に限れば、1992年の湯舟敏郎以来、28年ぶりの快挙となった。 6回に近本の7号ソロ、7回に沈黙していたボーアにも19試合ぶりの一発が出た。9回も、原監督が、懲罰交代させた田中俊の2連続失策などにつけこんで4点を奪い、終わってみれば、11ー0のワンサイドゲームとなった。 試合後、矢野監督は、東京ドームのベンチ前に置かれたマイクの前に立った。 打線の爆発を褒められても反応は鈍かった。 「うーん、そうですね。追う立場の僕たちは、どんどん点を取ることが大事。1、2戦で悔しい思いをしたので、今日はしっかりやってくれました」