【F1】角田裕毅〝驚異の激走〟で昇格どうなる?小倉茂徳氏「普通に考えれば評価は上がる。ただ…」
驚異的な激走は王者への扉を開くか――。F1のRBに所属する角田裕毅(24)が、23日(日本時間24日)に行われたラスベガス・グランプリ(GP)決勝で9位入賞を果たした。マシン性能で不利な状況の中、見どころたっぷりの走りを披露。モータースポーツジャーナリストの小倉茂徳氏(62)は角田を高く評価し、注目を集める親チーム・レッドブルへの昇格の行方を占った。 角田はスタートでオスカー・ピアストリ(マクラーレン)らの追撃をしのぐと、ここから次々と激しいバトルが展開される。1回目のピットストップではスタッフとの素早い作業を展開して、すぐ前にいたピエール・ガスリー(アルピーヌ)をギリギリのタイミングで逆転。そしてコースに戻った後、今度はケビン・マグヌッセン(ハース)を豪快にオーバーテイクしてみせる。 終盤には、明らかにペースの速いニコ・ヒュルケンベルグ(同)から猛追を受けるも懸命のディフェンスで粘る。結果的に抜かれるも、さらに後ろから激しく競りかけてきたセルジオ・ペレス(レッドブル)とのバトルはなんとかしのいでゴール。9位で2ポイントを獲得した。 小倉氏はまず、RBのマシンがうまく仕上がらない中で7位と躍進した予選を評価。「ものすごい頑張りだった。マシンの性能を考えたら、いろいろ超越しちゃってるなと思うくらいの結果」と目を丸くする。 決勝ではさすがにマシンの性能差が如実に表れて劣勢を強いられるも大奮闘。「長い周回を走った時のペースを見ると、RBは(10チーム中)7位くらいのチームだった。最終的には抜かれたが、ヒュルケンベルグとのバトルもかなり粘った。ずっと頑張って抑え、これはすごかった」と小倉氏は角田が見せた驚異の粘りを強調した。 そして、最終盤には来季のレッドブルのシートを争う形になっているペレスと〝直接対決〟。猛烈な追い上げを受けながらも抑えきった。 「相当頑張ったと思う。とにかくバトルをやっていても、ミスが全然なかった。追い詰められても必死に抑えていた」とここでも角田の傑出した技術が光ったと小倉氏。「本当に今回、すごく良い仕事をした。本来ならトップ10に入れないマシンだったが、決勝で性能を最大限に引き出した」という激走だった。 そうなると注目が集まるのは王者レッドブルへの昇格争いだ。「『ユウキをうちのマシンで戦わせてみたいな』と思うはず。あれだけの働きを見せたら、普通に考えれば評価は上がる」と小倉氏は期待を寄せつつも「ただ、F1の場合はいろんな力関係が働いたりする。スポンサーからいくらお金が入るとか、その他の関係性もある。これでレッドブルに昇格できるかとなると、どうなんだろうというところ」と実力以外の面も含めて微妙な情勢を指摘した。 いよいよ今季は残り2戦。角田は結果を出し続けて〝吉報〟を待つ。
渡辺卓幸