14歳でスカウトからデビュー。佐津川愛美が新体操全国大会出場から俳優になるまで
俳優の佐津川愛美さんがデビュー20周年を記念し、著書『みんなで映画をつくってます』を上梓した。「最初の現場で映画に魅了され、映画に携わっていきたいと思いました」と力強く語る佐津川さんは、14歳でスカウトされ、2005年、スクリーンデビュー。同作でいきなりブルーリボン賞助演女優賞にノミネートされている。 【写真】可愛すぎる!『蝉しぐれ』でデビューしたばかりの佐津川さん インタビュー後編では、スカウトされる前にさかのぼり、20年間の話を聞いていく。
芸能界に興味があったわけではなかった
「14歳でスカウトしてもらうまでは、特に芸能界に興味があったわけではありませんでした。地元の子どもミュージカルには出演したことはありましたが、新体操のクラブチームに入っていて、新体操三昧の日々を送っていました。うちはスポーツ一家。両親もきょうだいもみんな何かしらのスポーツをやっていました。私が新体操をやるのも自然の流れでした。友達と一緒に見学にいったところ、やってみることにしたのですが、土日を含め、毎日のように練習があり、家に帰ったらもうへとへとで、遊ぶ時間はほとんどありませんでした」(佐津川さん、以下同) 新体操で中学2年生の時にジュニア五輪全国大会に出場するが、その年の10月にクラブを辞める。 「全国大会に出場して、燃え尽きたというか。選手チームに所属して、いろいろな大会に出場しましたが、“戦うこと”が好きじゃないということに気づいたんです。競技として大会に出場するよりも、年に一度、行われる発表会が好きでした。競技ではないので表現の仕方の幅も広がり、それをみんなに見てもらうのが楽しくて」
「自分の将来は自分で決めなさい」
新体操を辞めてから数ヵ月後、佐津川さんは現在も所属する事務所のマネージャーからスカウトを受ける。「もしチャンスがあるならという軽い気持ち」で芸能界に飛び込んだが、早くもデビュー作である映画『蝉しぐれ』の現場で、佐津川さんは映画の世界で生きていくことを決意する。 「親はむしろ背中を押してくれました。私を含めて、4人のきょうだいは、みんな『自分の将来は自分で決めなさい』という教育方針のもとで育ちました。『蝉しぐれ』は、1年を通して撮影を行う大作で、スタッフも俳優もすばらしい方ばかり。デビュー作でこれほど大きな作品に参加できたことは本当に幸せなことでした。なにより、自分の父親より年上の大人たちが、ひとつのカットを完成させるために、一生懸命動いて働いている姿に心が震えました。その後、完成した映画を観て、ああやって撮ったものがこんな風につながっていくんだとまた感動して。俳優にはこだわらない、どんなかたちでも、ずっと映画に携わっていきたいと強く思いました」 小学生の時に、子どもミュージカルに参加したことはあったというが演技はほぼ初めて。若さと持ち前の度胸で体当たりで臨んだ。 「黒土三男監督は、『小手先ではなく、気持ちでやれ』と繰り返しおっしゃっていました。この『気持ちで演じる』というキーワードは今も私の原点になっています。何度も何度も撮りなおしたシーンもありますが、一度、監督に褒めて頂いたことは今も鮮明に覚えています。あるシーンを撮った後、『今の佐津川くんは、気持ちで芝居をしていたね。オッケー! 気持ちがよく見えました』と言ってくださったんです。当時は技術がまったくなく、『気持ちで演じる』以外なかったのですが(笑)。その姿勢を評価してくださったことを本当にうれしく思いました」