これが本当のネイキッド!! 1980年代に生まれて消えた「カウル脱いじゃった系」ネイキッドモデル
スズキ最後のカウル取っちゃった系ネイキッドは獣ネームの2台 WOLF(1988)とCOBRA(1989)
懲りずぎると受け入れられないと悟ったのか、その後スズキは2ストレプリカRGV250Γのカウルを取り去り、ソリッドな単色カラーでまとめたウルフ(250)を1988年に投入。スズキは1960年代のロードスポーツにも使われたこの車名を、200/125/50ccロードスポーツのネイキッド版にも採用してシリーズを拡大するが、どれも時代の主役になれずに1990年台半ばにはフェードアウト。そして1989年には4ストレプリカのGSX-R250Rをベースにカウルを剥いだコブラを発売。しかし、これも営業的には成功せず、間もなく生産終了。 レーサーレプリカのカウルを剥いだだけでは、レプリカ以降のロードモデルのトレンドを牽引するのは不可能と判断した各メーカーは、その後ネイキッドデザインをそれぞれ模索していくのだが、一番に成功を収めたのは、冒頭にも登場したように最もオーソドックスなデザインでリヤ2本ショックを採用したカワサキ・ゼファーだった。そしてこの登場とともに「カウル取っちゃった系ネイキッド」の奮闘は終焉し、真のネイキッドブームが到来したのである。 ちなみに、今ではネイキッドの言葉がメーカーの垣根を越えたカテゴリーの総称になっているものの、そのブームを作ったゼファーもスズキの当時の各モデルも、「ネイキッド」の言葉は使っていなかった。最初に使い始めたヤマハに配慮したのかは不明だが、前述の2社では「ノンカウル」との表現が大半だった。ネイキッドとカテゴリーをくくり始めた“犯人”は、もしかするとバイク雑誌だったのかも!? (写真説明) ■GSX400Xインパルスで苦い経験を味わったスズキは、すっきりしたデザインに路線変更。RGV250Γのネイキッド版ウルフを1988年に発売。タンクやテールカウルの造形は本家と同様のまま、オーソドックスな丸形1灯ヘッドライトを採用したもののヒットには至らなかった。性能はRGV250Γと同等の最高出力45psだが、価格は56万9000円のΓに対してウルフは50万9000円。 ■1989年には、4スト250レプリカGSX-R250Rのノンカウル版として、コブラを発売。これもひねった車名に違わず本家からカウルを取り去っただけの印象。黒いボディがコブラの精悍さを感じさせるものの、販売は振るわず間もなく生産終了。これ以降、カウルを取り去っただけの雰囲気のネイキッドモデル群は見られなくなった。 まとめ●モーサイ編集部・阪本 写真・カタログ●八重洲出版アーカイブ