「不登校はおまえのせいだ」育児傍観者の夫に責められ…追い込まれたワンオペ母の苦境
令和4年に発表された総務省統計局の調査によると、6歳未満の子供を持つ夫婦と子供の世帯で、夫と妻の1日当たりの家事関連時間の週全体平均は、夫が1時間54分、妻は7時間28分という結果が出ている。「共働き世帯」でも週全体平均は夫が1時間55分、妻は6時間33分という調査結果だ。日本の共働き世帯は7割超えと言われている中で、家事の分担は圧倒的に女性が多い。 【写真】息子の腹痛の原因は「心的負担」と言われた。息子の「心的負担」とは 特に育児は、共働き世代でも妻の方が3倍の時間を割いているという結果が出ている。自分の子どもに対して「傍観者」になる父親は多く、それは息子が不登校になっても変わらないケースもある。 さまざまな環境で悩み苦しむ子どもと親を、NPO法人『福祉広場』代表の池添素さんは支えている。不登校や発達障害の子どもと親にかかわり続けて40年。親たちに「素さんがいたから私たち親子は生きてこられた」と感謝される。 池添素さんに子どもの不登校の現状についてジャーナリストの島沢優子さんが取材し、具体的なエピソードと共にお伝えしていく連載「子どもの不登校と向き合うあなたへ~待つ時間は親子がわかり合う刻~」。第9回では、小学校2年生の秋に「おなかが痛い」と言い出し、そこから不登校になった息子ナオキくんと向き合う母ミノリさんについてお伝えする。家事育児を一切手伝わないワンオペ傍観者の夫と、勉強もスポーツもできるナオキきんの兄に「不登校になったのはおまえのせいだ」と言われるミノリさん。次第に自分自身も追い込まれていく。不登校児の親たちを勇気づけ、闇から救い出した池添さんの言葉とは。 池添 素(いけぞえ・もと) NPO法人「福祉広場」理事長。京都市職員として保育所や児童福祉センター療育課などで勤務した後、1994年に「らく相談室」を開設。2012年にNPO法人福祉広場へ移行し、相談事業を継続している。子育て相談、発達相談、不登校相談、ひきこもりや親子関係の相談など内容は多岐にわたり、年齢も多様な相談を引き受けている。著書に『ちょっと気になる子どもと子育て―子どものサインに気づいて』『いつからでもやりなおせる子育て―子どもといっしょに育ちを振り返る』『笑顔で向きあって-今日から始める安心子育て-』『子育てはいつもスタート―もっと親になるために』『いつからでもやりなおせる子育て第2章』(いずれも、かもがわ出版)『育ちの根っこ―子育て・療育・つながる支援』(全障研出版)『子どもを笑顔にする療育―発達・遊び・生活』(全障研出版)『連れ合いと相方―介護される側と介護する側』(共著=かもがわ出版)立命館大学産業社会学部 非常勤講師、京都市保育園連盟巡回保育相談員。