西武の高橋光成が無傷の5連勝…「負けるまで切らない」“勝利のロン毛”はどこまで伸びる?
投げ終えた反動で身体が半回転するほど渾身の力を込めた。恋女房・森友哉のサインに3度首を振った西武の先発右腕・高橋光成は、自らが望んだ直球に意地を込めた。 本拠地メットライフドームで日本ハムに7-1で快勝した21日の7回戦。7回二死三塁の場面で高橋が投げ込んだ103球目は、この試合で最速となる152kmをマーク。内角低目に突き刺さる軌道を前にしてまったく反応できなかった1番・五十幡亮汰は、見逃しの三振を告げる柳田昌夫球審のコールをぼう然と聞き入れるしかなかった。 このとき、マウンド上で五十幡に背を向ける体勢になっていた高橋は、右手でグローブを強く叩くしぐさを介して、内に秘めていた気迫をあらわにした。 8回からはマウンドを2番手・十亀剣へ託した高橋は、陸上部とかけ持ちしていた中学時代に「サニブラウンに勝った男」として売り出し中の快足ルーキーから、狙って三振を奪いにいったと認めた上で、自戒の念を込めながら、こう語った。 「最初からスピードが出るように、(次は)しっかりと調整します」 初回から直球が走らない。 五十幡に内角高目の144kmをライト前へ運ばれ、警戒していたにもかかわらず二盗を決められた。しかし、西口文也ピッチングコーチが「もう少し直球に力が出れば」と心配したほど本調子にはほど遠くても崩れず、長いイニングを投げ、先発として試合を作る粘り強さが今シーズンの高橋にはある。 カットボールやスライダー、フォークを丁寧に散りばめながら、初回無死二塁で見逃がし三振を奪った2番・郡拓也から10人連続で凡打に打ち取った。4回一死から3番・西川遥輝を歩かせたものの、二死後に二盗を狙った西川を森が絶妙の送球で刺した。 バックの援護は守備面だけではなかった。二死から下位打線に140km台後半の直球を痛打され、同点とされた直後の5回。一死二、三塁のチャンスで4番・中村剛也がレフトフェンス直撃の二塁打を一閃。呉念庭、コーリー・スパンジェンバーグの下位打線も連打を放ち、さらに敵失も絡んで一挙に5点を勝ち越した。